|
演出とは、音楽で言う指揮者のようなものです。・・・・と、言われても抽象的すぎて何が何だか分からないと思うので、具体的に言うと、役者を、舞台を、自分の持つイメージ通りに作り上げていく人です。
演出は、口で「こういうことをするんだ」と言いにくい仕事です。決まったやり方はないし、決まった演出方法もないからです。けれど、芝居を作る上での最高権力者であることは間違いありません。
例えば、「あなたのことが好きになれないの。私、どうしてもあなたのことが」と言うセリフがあったとします。そのセリフを演出する方法は無限にあります。まずキャストに読んでもらって、それが「あなたのことが・・・・好きになれないの!私どうしてもあなたのことがっ・・・・!」と言う口調だったとします。それが演出のイメージにあっていれば良し、違っていれば、「もっと寂しそうに」とか、「「好きになれないの〜私・・・」のところの間(ま)をもっとあけて」などと言って自分のイメージに合わせて作り替えていくのです。
これは、キャストの自由がないと言うことではありません。上に書いたような問答があった末、「あなたのことが好きになれないの・・・・・。私、どうしても・・・・あなたのことが。」というような「演出の望むセリフ」がキャストの口からでたときに、キャストは自分の演じる役の新しい姿をつかむでしょうし、演出は自分のイメージに載せて芝居を進行させることができます。
もしあなたが演出になった場合、まず気を付けて欲しいのが「自分はこの芝居の最高権力者である」という自覚を持つことです。そしてそれを周り(キャスト、スタッフ)も良く理解することです。全員がこれを分かっていないと、「威張っている」とか「偉そうに」とか、芝居を作っていく上で最も避けなければいけない『陰口』が蔓延します。キャストやスタッフは演出の要求と格闘して、自分なりの答えを見つけるために、演出に身を預けるのです。そのことを芝居に関わる全員が良く知っている必要があります。
初めにも書きましたが、演出には決まったやり方はありません。演出がどのようなものか知るためには、いろんな劇団の芝居をたくさん見ることです。特に劇団四季のミュージカルなどは、「演出」を実感する事が出来ます。
芝居をたくさん見ることは、スタッフやキャストにとってもいろんな表現手法を知るためにいいことです。部員に限らず、家族と、友達と、そして時には恋人と芝居を見に行くのも悪くないかもしれません。
|