*はじめに。
ここのページは創作集団『必志組』の中での私の実体験に基づいてつくられています。きっと、多くの場面で役立つことと思います。構成は、大きく分けてみっつ。『役者編』『演出編』『集団運営・制作編』です。

*まずは役者編。

まず、役者編について。役者は演出されるものです。さて、正常な状態のシミレーション。
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全体のバランスとして、演出が明るいイメージにしたいシーンの練習日。
演出:はーい今日はここやります。ここは、次にシリアスなシーンが来るので、あえて明るくして落差を付けます。
役者:あのー、この台詞なんですけど。
演出:何?あ、そこは、からかう感じで。でもあくまで軽くね。
役者:そうですか。明るい感じだとこういうのとこういうのとこういうのがあるんですけど、どれがいいですか?
演出:ちょっと明るすぎ。もうちょっとからかうの強調すると?えっとね、ベースは最初にやったやつで、それにからかいを足してみて。
役者:じゃぁ、こういう風にするのと、こういう案と、逆にこういう風にするのがあるんですけど。
演出:じゃあ三番目ね。それでいきます。
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では、異常な状態のシミレーション。
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全体のバランスとして、演出が明るいイメージにしたいシーンの練習日。
演出:はーい今日はここやります。ここは、次にシリアスなシーンが来るので、あえて明るくして落差を付けます。
役者:え、そこ、明るいんですか?
演出:うん。
役者:私の考えだとここでの○○の気持ちはこうで、こうなって、こうなんですけど。悲しい、暗い気持ちですよここ。
演出:へぇ。
役者2:え?私の考えだと明るいのも暗いのも違って、普通なんですけど。だってここでの■■の気持ちって、こうこうこうじゃないんですか?
演出:へぇ。でも明るくやって。落差つけたいから。際だたないでしょ。
役者:ふぅん。役の気持ちはいいんですかぁ?
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要するに、役者が勝手に演出家になっちゃって、
イメージを限定しているんですね。

演出のイメージは絶対です。かといって、発言権が役者にない訳じゃありません。ただし発言するのは、全体のバランスを考えて言うべきなのです。例えば、
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演出:はーい今日はここやります。ここは、次にシリアスなシーンが来るので、あえて明るくして落差を付けます。
役者:あの、ここのシーン、明るいんだけど不安がおそってくる感じじゃダメですか?
演出:それってどうやるの?
役者:あの、笑ってるんだけど、から元気みたいな。明かりとかも明るくしてあって、音楽も明るいんだけど、空虚な感じで。(役者を集め)昨日相談したみたいにやってみて。
役者:(実演)
演出:なるほど。そっちの方がいいね。そうしよう。
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つまりどういうことか。
必要なのは、まず、

1.演出が方針を明示すること。
2.役者はその方針に沿って、いくつかの案を提示すること。
3.役者が、演出の出した方針に疑問を感じるならば、説得力のある実演を伴った方針を打ち出すこと。

です。無理だと思いますか?

でも、冷静に考えてみてください。少なくとも私は、「ここは明るくするから」と演出に言われた効果、照明などのスタッフが、「じゃあこれにします。文句言わないでください。案は一つだけです」とか、ましてや「ここは暗いはずだと思うんですけど。演出間違ってません?」とか言う場面に出くわしたことはありません。

スタッフでは、「ここは明るくするから」「あ、そうですか。じゃぁ前ライトと真ん中付けましょうか。あとスポットも要りますか?ホリゾントを黄色っぽくするって手もありますよね。」や、「こういうテンポのいい明るさと、朝焼けみたいな明るさと、青春っぽい、ギャグみたいな曲があるんですけど、あと他に候補としては・・・」ってうのが常識のはず。

スタッフに出来ることが何故役者に出来ない。

私は、これは「気持ちを考えて!気持ちを考えて!」っていう、ガラスの仮面かなんかの影響だと思うんですね。確かに気持ちを考えてもいいです。いっこうに構いません。けど、気持ちを考えて実際表現できなきゃ意味無しです。ほんとは、表現できた上にお客さんの気持ちを、劇場の雰囲気を動かせなければ意味無しなんですが、まずは表現です。表現の多様性と想像力です。

極端な話、「私淋しいの」という台詞があったとします。これでどれだけのシーンが想像できますか?ちょっとやってみてください。そして想像した後、下をドラッグしてください。

●彼氏にふられた女の子が友人に相談してる。最初は怒っていたが、次第に自分の気持ちに気づく(悲しそうに、など。)
●水商売なりたてのオンナノコが、帰りそうになるお客さんを引き留めるために言う。(ぶりっこっぽく、後で舌出して笑ったりして)
●いじめっこが、女の子の日記を広げて、書いてある詩を読む。(棒読み、あとで大笑い。)
●感情を知らなかったロボットが次第に感情を知っていく。「淋しい」という感情を初めて知った。(さみしさを感じたことを嬉しがって)
●犬を十匹も飼っている人が、「何で犬を飼っているんですか?」時聞かれて(あっけらかんと。犬たちの頭をなでながら)
●待ち合わせの場所に行ったら、友達がもう家に帰っちゃったとき、小さな女の子が。(今にも泣き出しそうに)

などなど、あるでしょうが、例えば一番最初のもの。これは、どんな読み方が考えられるでしょう?(考えたらドラッグ)

(自分の気持ちに気づき、帰ってきて欲しいという悲しみ。「私・・・・淋しいの・・・っ・・・!」)
(ふと自分の気持ちを認識し、正直になろうと思う気持ち。「そう、私、淋しいの。(何で素直にならなかったのかしら)」)
(友人を頼るような気持ち。「私・・・淋しいの!(今はあなたに頼らせて)」)
(今までこんな簡単なことを気づかなかった自分を嘲笑し「そ、私、淋しいの。ははっ」)
(また怒りがぶり返す。「私淋しいの。なのに構ってくれなかったんだから!(なんで気づかなかったんだよぉ!)」)

私はここでいくつかの場面設定と、一つの場面設定に対する数パターンの感情の流れを書きましたが、この程度の想像力は持っていて当たり前です。十分くらい考えれば、これくらいは出てくるはずです。

これでずいぶん演技も変わってきますよね。これが、「いくつかの案を提示する」ということです。これが役者の仕事であり、滑舌やら早口言葉やらストレッチなんかは普通の人でも出来ます。覚えるだけですから。創造性のカケラも要りませんし、想像力も使いません。

演出が「明るくする」と言ったら、どんなことが浮かびますか?今、台詞の制限無しで、「この場を明るくして」と言われたら。考えてみてください。照明も、音響もです。その後下をドラッグ。

役者:走り回る。踊り出す。一人標的を決めて明るくからかう。無垢な子供になりきる。子供の遊びを始める。文化祭、体育祭などのおまつりのような忙しさを表現する。(ものを探す、忙しく動き回る、指示が飛び交う)最初に一人をぽつんと座らせて置いて、そこにみんなが迎えに来る。酒が入った演技をする。パントマイムのみで話を作ってみる、など。

音響効果:明るい音楽をかける、手拍子を入れる、だんだん音を大きくする。

照明:明るくする、ホリゾントを黄色っぽくする、曲にあわせて明かりをフラッシュさせるなど。

何故演出がいるのか、分かりましたか?役者に自分の想像をやらせるためにいるのではなくて、役者の豊富すぎる想像力を、一つにまとめるためにいるのです。

役者が、「あれもできるしこれもできる。あ〜、どれをやろうかなぁ。」と思っているときに、「じゃぁ、全体のバランスも考えて、これをやったら?」というのが演出です。

さて、役者の基本が「想像力」「表現力」であることはご理解いただけたと思います。けれど、役者はよく、やるべき仕事が分からなくなります。一人でいるとき、共通のシーンがない役の人と一緒にいるとき、何をしたらいいのか。それを考えていきましょう。

*まずは役者に。いいかげんマニュアル

1)不完全なシーンを練習できるメンバーが揃っていますか?
→不完全なシーンを、一回につき(役者ではない人の批評を含めて)
  相談時間五分以内で五回以上通しましょう。
  相談の結果は録音、もしくは書き取りで記録しましょう。
  相談が終わった後の回では必ず直しましょう。
  五回以上通したら演出を呼びましょう。そして十分以内で批評をし、役者は聞きましょう。
→2へ

2)不完全なシーンの練習が、代役入りならできますか?(最低限必要な人数揃っていますか?)
→代役を入れてやりましょう。一回につき
  (役者ではない人の批評を含めて)相談時間五分以内で通しましょう。
  相談の結果は録音、もしくは書き取りで記録しましょう。
  相談が終わった後の回では必ず直しましょう。
  五回以上通したら演出を呼びましょう。そして十分以内で批評をし、役者は聞きましょう。
→3へ

3)不完全な会話の練習ができるメンバーが揃っていますか?
→不完全な会話を、一回につき相談時間二分以内で三回以上通しましょう。
  相談の結果は録音、もしくは書き取りで記録しましょう。
  相談が終わった後の回では必ず直しましょう。
  役者ではない人の批評を五分間で聞き、一回通し、
  また批評を聞き、もう一回通しましょう。
  五回以上通したら演出を呼びましょう。そして五分以内で批評をし、役者は聞きましょう。
→4へ

4)不完全な会話の練習の相手をしてくれる代役はいますか?
→不完全な会話を、一回につき相談時間二分以内で三回以上通しましょう。
  相談の結果は録音、もしくは書き取りで記録しましょう。
  相談が終わった後の回では必ず直しましょう。
  役者ではない人の批評を五分間で聞き、一回通し、
  また批評を聞き、もう一回通しましょう。
  五回以上通したら演出を呼びましょう。そして五分以内で批評をし、役者は聞きましょう。
→5へ

5)動作を付けていない台詞はありますか?
→十五分間以内に考え、三回以上通し、動作を付けましょう。
  (役者ではない人から、一回につき三分の批評をもらっても構いません)
  演出を呼び、○か×かを聞きましょう。
  ○ならば書き取り、録音などで記録して、6へ。
  ×ならば十五分間以内に考え、三回以上通し、動作を付けて演出を呼びましょう。
→6へ

6)動作が不完全な台詞はありますか?
→十五分間以内に五回通し、タイミング、指先、立ち方、姿勢、動きのキレなどを
  確認しましょう。
  気が付いた悪い点(姿勢が悪い、腕の力の入れ方が弱くてぶれてしまうなど)
  を片っ端から記録しましょう。(他の動作にも当てはまります)
  (役者ではない人から、一回につき三分の批評をもらっても構いません)
  十五分経ったら演出を呼び、○か×かを聞きましょう。
  ○ならば7へ。×ならば十五分以内に確認、また呼びましょう。
→7へ

7)早口な台詞はありますか?
→録音機器があれば五分以内に録音して、まわりがうるさい状態で聞きましょう。
  可能な限りゆっくりと台詞をしゃべることを二十分間続けましょう。
  演出を呼び、○か×かを聞きましょう。
  ○ならばゆっくりとしゃべった秒数をストップウオッチで記録して8へ。
  ×ならゆっくりしゃべりを十分間し、もう一度呼びましょう。
→8へ。

8)滑舌の悪い台詞はありますか?
→録音機器があれば五分以内に録音して、まわりがうるさい状態で聞きましょう。
  十五分間可能な限りゆっくりと台詞をしゃべり、苦手な語句を四十回言いましょう。
  気が付いたコツを片っ端から記録しましょう。
  演出を呼び、○か×かを聞きましょう。
  ○なら9へ。×なら苦手な語句を四十回言って、もう一度呼びましょう。
→9へ

9)ダンスシーンがありますか?
→ダンスの曲を聴きながら、もしくは拍を取りながら十五分以内で復習しましょう。
  ダンス担当者を呼びましょう。
  ポイントを聞き、記録して、十分間練習後もう一度呼びましょう。
  ○なら三十分間の休憩を取りましょう。お疲れさまでした。その後10へ。
  ×ならダンスを復習しましょう。
→10へ

10)コツネタ集公開
同じく10を実行中の役者と、それまでに書き込んだコツ、悪い点と解決のコツ、
仕込んだネタを見せあうこと。

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例えば1で一つのシーンをやり終わっても、まだ1の項目に当てはまるものがあれば再び別のシーンで1をやってください。他の番号も同様です。時間厳守。一人ずつストップウオッチを持ちましょう。

不完全な会話、シーン、動作:
演出、役者ではない人間が「不完全である」と言ったところ。順位をつけ、一番からやる。

動作を付けていない台詞:
手のひらが肩より高い位置にある、動作を見ただけで何をしているのか分かる跳んでいる、足と足の間が八十センチ以上ある、正面を向いている。このどれにも当てはまらない、お客さんに必要な情報の含まれる台詞。

早口な台詞:
演出、役者ではない人間が「早口である」と言った台詞の中で、一番長いもの。

滑説の悪い台詞:
演出、役者ではない人間が、「滑舌が悪い」と言った台詞の中で、一番長いもの。

コツネタ集:
P○○、l○、私は〜l◎出会った。まで1ネタ:二人組で○○する
                   3会話:l◎、「でも〜」を大きく
                   5動作:腕を上げて〜
                   6改善:目線上に
                   7早口:l◎「でも〜」12.33秒
                   8滑舌:l○「私〜」の「ぼんぼん」
                   9ダンス:11拍目、少し遅い。
などと書いたノート、メモ帳、台本の裏のこと。

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演出は身体を分裂させるわけにはいきませんから、いつも全部の役者に的確な演出をすることはできません。つまり、キャストが多ければ多いほど、ほっておかれる人たちは自分でやるべきことを、それも想像力の必要な、自分にしかできない「やるべきこと」をやらなければいけません。これはそれを実行するための一つの道しるべです。

*演出の横暴。

まずはこれを見てみてください。

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演出基本方針

流される、流される〜時間。照明と同じく青いイメージ。男と女のおそれている結末。「何が起こるんだ?」
ダンス
時間が巻き戻る。流される〜の雰囲気を振り払う。「場面転換かぁ?」
学校
楽しい学校の風景。思わず吹き出してしまう懐かしい情景。「光一バカだなぁ(笑)」
コーヒー話
嘘っぽい光一の話。リョウコとトオルも信じていない。「まだバカ言ってる。本当?えー?」
自転車バザーやろうぜ
信じないけどやってみるのも一興かもと、乗り気なリョウコ。「あ、面白いかも」
サツキ現る
信じ始める二人。ノリ第一で、自転車バザー計画決行!「オイオイ、やってみるのかぁ!?」
掘る前ダンス
ノリ。とにかく楽しそうに。みんなで掘るのが楽しい。「あー楽しそうだな」
堀始め
蝉の声と明るい音楽。夏休みにはバカをやろう。「熱血バカこそ青春だよな!」
不審者発見
蝉の声も心なしかおとなしい。怪しすぎる。「変人だ!」
不審者退場
変な人たちだったなぁ。けどSFバカをからかう方が大事。「あれ何だったんだろう」
サツキ光一
熱血ではないほのかな青春。夏だなぁ。「夏だなぁ。青春だなぁ」
遅いなぁ
わくわくわくわくわくわく・・・・うわぁ!「わくわく・・・うげっ!」
運び出し
みんなハイだ。ネタがぼろぼろ出る。「笑えるなぁ。文化祭行かなくていいのかよ」
文化祭
みんなざわついてる。大人気の売場。嬉し忙し。「そうそう、こんな感じで忙しいよな」
不審者再来
ざわめきも消えて突然マジ話。二人に挟まれる光一サツキ「えっ?えっ?どうなっちゃうの?」
リョウコ探し
チャリ探偵団兼救助隊結成!けどマジな問題に気づく。「そうだ、急がないと。」
三人シーン
リョウコ、探偵気取り。なつかしむ二人。「あぁ、そうか、そういうことか」
バザー終わったってば
気持ちだけが焦る。邪魔だってば!「あぁもうじれったい!」
携帯電話奪取
リョウコ探偵。けど男と女にも迷いが。「リョウコもっと言ってやれ!」
光一イコール
発言に「そんなこと」と笑うが、もう信じている。「よし、行こう!」
ドア開けない
光一から笑顔が消える。真剣な表情。「光一・・・・・」
開けた
光一、一瞬笑顔を見せるが、自分がたどるはずだった運命を見て怒り、悲しい。
いらないじゃないか
何かに気づいた光一。自分との対決。どこまでも自分を追いかける。
必要ないんだな
男、女、安心してゆける。その表情に光一、「男」を許せる。
あなた達だった
最後のいたずらっぽい警告。何が起こるか分からない。けれどもう、安心出来る気がする。
終わらせよう
もう一度始まる。何度でも始まる。けれど今はしがみつかずに、微笑って、終わろう。
終わっちゃった
夏の終わり。普通の学校生活がまた始まる。始まっていることはたくさん。笑えるさ。
いけないこと?
ちょっとだけ振り返る。ちょっとだけ。
手を伸ばすのは
振り返っても立ち止まれない。そう、奇跡なんだ!
喜んでも
なぐさめに、弱い笑みで答える光一。
残ったコーヒー
かけらすら残さずに消えてしまえば、こんなに苦しくなかったのに。
流される
男の最後の実験は成功。ちゃんと砂糖を入れた。けれど余計に苦い。これでよかった?
飲み干す
これでよかった?これでよかった。これで、よかった?
リョウコたち来る
そうだ、これで良かった。だから進もう。宝物のある方に。
缶置く
いつかまたこんなことがあったら、ここへ来て傷の付いた缶を眺めながら、進もう。

例えばこんな感じ

明るい:
ホリゾントが黄色っぽい、明るい、早めのテンポの明るい曲がかかる、リズムに乗った身体の動き、高低幅広い音域で出された台詞、大きな声の台詞、じゃれあい、触れ合いが多い。

ハイ、ノリ:
ホリゾントが明るい、拍手や足踏みなどが入る、肩より上に手をあげる、跳ねる、正面を向く、全員が同じ場所を見る。

バカにする:
一人を二人ないし三人ではさむ。おどおどして両側の顔を交互に見る真ん中、余裕で真ん中を見つめる両側。両側はそろった行動を取る。

わくわくする:
背伸びする、顔を見合わせる、両脇をしめる、手が前に出がち。

忙しい:
歩調が早い、手はものを動かしている、大声でものを言いがち。

マジ:
明かりが青っぽい、音がとだえる、話を聞いている方の動きが止まる。声の高低差が少ない、少し小さめの声。

安心:
力を入れていたのが、表情、身体ともに力が抜ける。動かないが、めくばせなど。青っぽい明かりが黄色くなる。

怒り:
台詞をかけがち。相手を見据える、真ん中に立つ、前に出る、高低差は少ないが、重要部分で声が大きくなり、また高くなる。

迷い、いらつき:
自分の髪をつかむ、乱す。振り切るような動き、紫の照明、ピンスポット、意味不明の声の効果音。

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これは私が『必志組』のみんなに、練習期間が四分の三ほど過ぎてから渡した、演出基本方針シートです。いやぁ、もっと早くに渡しておけば良かった、というのが正直なところです。(^_^;)

あと、もう一つ見てもらいたいものがあります。『狙う落差グラフ』です。

このグラフは、テンション、+の感情、-の感情に分かれています。シーンごとに落差が付いていき、その触れ幅が話が盛り上がるにつれて大きくなっていくのが分かると思います。この落差こそが、盛り上がりの正体だと思うのです。

例えばこの「COFFEE〜あまくてにがいあじ〜」のラストあたり、サツキが光一をなぐさめようとして「物語の始まりよ?もっと喜んでもいいじゃない」と言うシーンがあります。そのあとに、「辛い物語かもしれない」という光一の台詞が来ます。

ここでは、自分の信じていた空想が消えてしまったわけですから、サツキも光一も苦しくて、悲しいのは確かなんです。けどここでクローズアップしたいのは「光一のつらさ」です。

ならばどうするか。サツキが落ち込んで、小さな声で悲しそうに「物語の始まりよ。もっと喜んでもいいじゃない」と言った後に、光一も落ち込んで「辛い物語かもしれない」と言っても、「あ〜なんか二人で暗いなぁ」くらいにしか思えません。ここはいっそ、サツキには無理にでも明るく読ませましょう。サツキが明るく、笑わせて慰めるように「ほぉら!物語の始まりよ?もっと喜んでもイイじゃない!」と言った後に、小さな声で悲しそうに「辛い物語かもしれない」と言えば、「おぉ!光一、辛いんだな!」と思えます。

「ちょっと待て、じゃぁ役者が苦労して考えてきたその役の感情はどうなるんだ」と、思われるでしょう。けどそれは演出から見れば間違った考えだと思います。そりゃぁ役者は悲しいかもしれません。けど、悲しいのを伝えるのに悲しがっていればいいわけじゃないでしょう。

例えばいじめられている子を表現するときに、悪口を言われ、泣いている姿を見せるより、悪口を言われても微笑いつづけ、いじめっ子たちが去った後にふっと遠い目をする、その姿の方が観客には哀しさを感じさせます。

これは役者にもスタッフにも言えることですが、「悲しいことを表現したい、外に出したい」んじゃないんです。単に悲しくなって外に出したいんだったら芝居なんかやらずにおふろ場の隅で泣いててください。楽しければ笑ってください。外に出したいだけだったら、それで十分なはずなんです。

でも、違う。では私たちスタッフは、演出は、役者は、何をしたいのか。「悲しいことを伝えたい」はずなんです。そのための一番の方法を考えなければいけません。

もう、ここから先はいろんなものを見て、(芝居に限らずドラマでも、現場の人間関係でも、本でも詩でも絵でも漫画でもなんでもいいです。)イメージトレーニングをするしかないでしょう。例えば、ABCという人たちがいて、Aさんの楽しさを表現したい。台詞は自由。どうしますか?私だったら、(考えた後以下ドラッグ)
●BとCが失恋について話している。二人ともけっこう真剣で、落ち込んでいる。そこにハワイ帰りらしき衣装、荷物のA登場。みやげを手渡したりし、踊っちゃったりする。と、BをふったというBの恋人が、Bのことをまだ好きだとAにうち明けていたこと発覚。みんなで踊る。
●BとCがAを待っている。遊園地に行く約束。かなり遅い。と、荷物をいっぱい持ったA登場。コケる。Cが苦笑しながら頭をなで、三人ではしゃいで遊園地へ向かう。

などでしょうか。次、シーンの喜怒哀楽。台詞はこの二つから始めます。「一緒に行こうよ」、「やだ」(考えた後以下ドラッグ)
●喜:彼氏と彼女。彼女、頼み込んで甘えるように、「一緒に行こうよぉ」。彼氏からかうように「やーだ!」。多分この後、「俺はお前とここにいる方がいいから」とかなって行くんでしょう。
●怒:お母さんと幼稚園児。遠足に行くのをぐずって、机の下に隠れてしまった男の子に笑いかけ、「ね、一緒に行こうよ」。男の子は体育座りになって泣きながら、それでも頑固に「やだっ!」多分この後、お母さんは優しく語るけれど、「やだやだっ!」と言い続けて、「お母さんなんか嫌い!」とか言っちゃうでしょう。お母さんぽかぽかなぐったりね。
●哀:尽くす女と遊び人。久しぶりに会ってどこかへ行こうと思い、おずおずと「一緒に、行こうよ。」けれどバカにするように即答。「やだ。」その後会話は「でも・・・久しぶりだし・・・」「テメェにつき合うほどヒマじゃねぇよ」とかになって、女の子泣き出しちゃうでしょうね。
●楽:幽霊の女の子とお気楽女の子。幽霊の女の子が天国へ友人を連れていこうと「一緒に・・・行こうよ」と言うけれど、お気楽女の子はカルく笑いながら「やだ。」多分この後は、お気楽女の子が「だってあたしも幽霊になれるとはかぎらないし。まだ彼氏も作ってないし。あんただって、ここに残っちゃえばいいじゃん!そう、そうしなよ!」とかなるでしょう。

こんな具合で、どんどん想像すること。「こうに違いない!」「いやこれもアリじゃない?」そういう想像が「創る楽しみ」だと私は思います。

*何故役者は大変なのか?

根本的にスタッフと役者がやるべき事は同じといっても、じゃぁどうして役者はあんなにキツいんでしょうか?やることが多いから?台詞覚えて、感情つけて、動いて、滑舌良くしなくちゃいけないからでしょうか?

それはきっと違うでしょう。照明だって仕込み図覚えて、立ち位置による光の当たり方覚えて、スイッチ動かさなきゃいけません。台本から読み取ってQシートだって作らなくっちゃいけません。滑舌に当たる、「器具の使い方を覚えて使いこなせるようにする」なんてのも当たり前です。音響でも大道具でも衣装でも同じでしょう。

私の考える理由は一つ。「自分で見られない」からです。照明は自分で、自分の作った明かりを見ることが出来ます。演出も、自分の作ったシーンを見ながら作業をすすめる事が出来ます。音響は聞けるし、大道具や衣装は当たり前のように見られます。

けど役者は見ることが出来ない。「今のが良かったよ」と言われても、自分の気持ちがすっきりしなければいい演技だとは思えないし、「今のはダメ」と言われても、自分がやっているときに良かったと思えば納得がいかないでしょう。

けど同時進行で見るのは無理。鏡を見ている余裕なんか絶対に無いでしょうしね。ビデオを通しで撮ってもらっても、演出がいいというところとダメだというところの比較が出来ないんじゃどうしようもありません。ってわけで、

「ビデオはむしろ練習中に撮れ!!」

頭で考えれば、演出や周りの人に見えているものがお客さんにも見えるものなんですから、そっちの意見が正しいに決まってるんです。何にも見てない自分よりは。けど、そういう時人間は心からこう思います。「納得いかねぇよ」と。なので、自分が繰り返す演技の中で、いいと言われたものと悪いと言われたものをちゃんと見比べてみてください。きっと、意外と正当な評価です。

けれど、毎回練習のたびにビデオを撮って、それを見て、というのは時間的に無理でしょう。なので、芝居のビデオを見ます。キャラメルボックスはMXTVで毎月放映していますので、東京在住の方なら集団の中で誰か一人は録画が出来るでしょう。

そこで見ていると、例えば一人が追いつめられるシーン。二人くらいが舞台前の方から、一人を挟む形で詰め寄り、真ん中の一人は後退していく。これで「追いつめられている」は伝わるでしょう。けどやっている役者がシーン全体のイメージがつかめていないと、「追いつめられているときには足がすくんで動けないと思うんですけど」といった意見が出てきてしまいます。二人が詰め寄って、それでも真ん中の一人が動かなかったら、強がってふんばってるみたいに見えませんか?

でもやっぱり、「追いつめられているときには足がすくんで動けない」というのは正当な意見です。きっと、考え抜いた結論だと思います。けどそれは、「追いつめられる→足がすくむ」であって、追いつめられた自分の、その役の気持ちを伝える手段には(この場合)ならないでしょう。「怖い、来ないで、もう嫌だ、逃げ出したい」と言う風なものを伝えるためには、どちらがいいのでしょうか。

そう簡単には納得できないと思います。納得できなければ、納得できるまでビデオを、イメージを、追い続けてください。ここから先は個人の判断になってきます。きっと一度は、「自分が納得してないのにやれと言われる」ことで人が感動し、評価して「自分がやりたい、気持ちいいこと」で人が感動せず、評価しないということがあると思います。

そして必ずどちらかを通らなければ行けないと思います。何故通るのか?そのゴールは二つとも同じ、「自分が気持ちいい、人が感動する」ことだからです。それ以外に、目的など無いのだから。