* 『必志組』で分かった、おカネとお役所のはなし。

さてさて、『必志組』WEBがオープンいたしました。

それを記念しつつ、『必志組』に基づく役に立つ体験記です。
今回は「高校生が自力で集団を運営していくこと」について。
ここではあえて、感情的な問題、ニンゲンカンケイの問題には触れません。
芝居、創作を志す集団ですから、それぐらいのまとまりは
あるものとして話を進めます。

と、いうわけで、今回はまず「ホール取り」について。
ホールって、いったいどうやって取ったらいいんでしょう?
一般の小劇場を取るとホールだけで三日間、
21万円ほどがかかってしまいます。
まさか高校〜大学生なりたての集団が、
そんなお金出せるはずがありません。
そこで狙うのが、市の施設、区の施設、都の施設。
要するにお役所系です。
確かに、大学生のサークル(プロ予備軍含む)など、
芝居を本気で考えている人たちは、小劇場や早稲田の学生会館
などで公演を打つのが普通です。
しかし、なんてったってお金はないし、大学に対するコネもありません。
市の施設で公演を打つと、やはり「劇場ステータス」というのは
限りなくマイナスに近いです。
イメージとしては、

「趣味の連中が、なんかカッコ悪いとこで芝居してるぜ」

という感じになりかねません。
けれど、そこはそれ。お金がないものはないのです。
あとは宣伝における工夫と、自分の持っている人間関係
(私で言うなら、「中学生演劇のページ」で知り合った方など)
から、お客さんを集め、評判を広めて行くしかありません。




* 実際に使用したホール

ちなみに『必志組』は今まで三回(2002.5の公演含め)公演をしています。
一回目は町田市の青少年施設、カリヨンホール。
350人ほど収容のホールで、
ホリゾント(舞台の後ろが白くて、明かりでいろいろ色を変えるヤツ)
があり、スポットもついていて、
明かりの状態としてはかなりいいものでした。
一回当たり、一万円以下で借りられます。

しかし、ここを借りるためには町田市の青少年団体としての
登録が必要で、五割以上が町田市民、保護者一名付きが
条件です。
『必志組』ではその時点でのメンバーの内ふたりが町田市民だったので、
彼らの近所の友人何人かに名前を貸してもらうという手段をとりました。
そしてメンバーのご家族が、「保護者一名」になってくれました。

ホールを取るときには、抽選会があります。
それも、昼とかからです。学校サボるのか!?って感じです。

(抽選会は、使用月の半年前です。ってことは、団体としての登録や設備の確認、施設の管理人さんと仲良くなって、いろいろ教えてもらうのは、半年以上前までにすませておかなければなりません)

加えて、ほぼ全ての手続きは、五時までに終わらせなければなりません。
当たり前ですが、お役所の業務は五時までなので。
メンバー全員の住所(名前を貸して下さる方含む)を集め、
ひとりで記入し、にこにこと頭を下げつつお役所に通うのです。
何度かお役所に行くと、
職員さんの意見がひとりひとり違うことが分かります。
「あぁそうか、がんばってね」と言い、ハンコをぽ−んとくれる方。
「いやそれはですねぇ、うーん、ちょっとなぁ……」と言い、
「また明日来ていただけますか」と答えを出し渋る方。
ここでムカついたそぶりを見せてはいけません。
っていうより、ムカついてはいけません。
職員の方たちは、高校生にあまりいいイメージが無いことが多いです。
(設備を壊す、態度が悪い、挨拶が出来ない、書類が不備etc)
なので、貸していただく側としてふさわしい、
丁寧な、感謝の心で通い詰めましょう。
丁寧な挨拶が出来て、「ありがとうございました!」と言えたなら、
おたがい気持ちよく、施設の貸し借りができます。

二回目のホールは、埼玉県浦和市の、
浦和市青少年宇宙科学館、青少年ホールでした。
こちらは、二日間借りて四万円ちょいだったと思います。
ここは、団体登録が必要ありませんでした。
座席数は三百が最大で、照明はホリゾンありの、
ほぼカリヨンホールと同じものでした。
くわえて、明かり屋の西瓜すいかとしては嬉しいことに、
操作盤の記述と、実際の配線が一致していました!!!
(いや、当たり前なことでしょうが、前回が違ったので(^_^;))

ここはホール取りが遅れてしまい、
本番三ヶ月前ほどに唯一空いていた場所をとりました。
そのため、都心からとても離れてしまいました。
ホール取りは、確実に、半年前くらいから考えなければ駄目です。

三回目は、調布市文化会館「たづくり」の八階、
映像シアターという場所です。
今まで、三百人ほどの大きなホールを取ってきましたが、
望める集客数はやはり百以下でした。
上限が百人ほどの小屋(劇場)が、ちょうどいいのです。
(大学のサークル、学生会館の小屋などは、60人くらいでいっぱいです)
と、いうわけで、映像シアターは104席です(4席は車椅子)

さて、映像シアターという名前から分かるとおり、
本来映画、企業説明会のスライドなどに利用する場所です。
しかし、どたばたしない(振動を押さえる設計になっていないため)
こと、そして二人芝居であることを条件に、使用を認めていただきました。

ここは照明設備代が別で、朝9:00〜夜9:30で、14800円です。
ここも、団体登録が必要で、調布市役所に通わなければなりません。
市民がいれば登録が出来ますが、
過半数以上が住民、在学、在勤のどれかに該当すると、
「市内団体」となり、
使用料金がだいぶ安くなります。
ちなみに映像シアターは、同じ時間で市街団体だと17800円です。
照明設備代が、だいたい4000円くらいかかります。

ここで公演を打つと、チラシを文化会館において貰えます。
けれど、ハケるかどうかは怪しいところです。
(チラシは、市の規定した条件を満たしていなければなりません。詳しい説明は施設申込みの時に、パンフレットとして渡されます)




* 練習場所について

さて、ホールについてはこれで一段落なのですが、
問題なのが練習場所です。
『必志組』のように地域がバラバラ(埼玉県から、巣鴨、小平、町田etc)
で集まったメンバーは、一カ所に集合するだけでも一苦労でした。

最初は、調布市の施設である、西調布体育館の会議室を利用していました。
無料のもので、管理人のおばさまも、「がんばってね」と
言って下さっていたのですが、
何故か管理人さんが変わり、
「教育委員会の指導により、出ていって欲しい」と、
言われてしまいました。

西調布体育館の設備は、A体育室、B体育室、そして会議室です。
A、B体育室は有料(1700円/三時間)で、
出ていって欲しいと言われたときには、
「ここは、A、Bを使用している人が、会議をするためのもの」
ということでした。
けれど、お役所(こちらの団体登録は文化会館とは別口で、同じ調布市でもスポーツ振興課という部門です)の方では、
「高校生で練習場所に困っていて、ここはとてもありがたい」
と言ったら、
「いつもあいていますから是非使って下さい」と言われていたのです。

お役所の手強さを思い知りました。

その後、私のマンションの下にある、コミュニティルームという空間や、
各メンバーの住んでいる地域の施設
(これもそれぞれ、登録が必要なものがあります)
などを転々としています。
あとは春になったので、屋外練習もやります。
代々木公園が、一番練習がしやすい場所で、重宝しています。




*宣伝について

さてさて、宣伝ですが。
第一回は、コピーでした。
青塗装さんの書いて下さった白黒イラストに日時を入れて、
家にあった色の紙(ピンクのコピー用紙)に刷りました。
本当はイケナイのですが、コピー機のトレイを空けて、
紙を差し込み、持ち込み用紙での印刷をやってのけてしまいました。

二回目も同じくでした。

そして、第三回公演。
第三回公演は桁が違います。1000枚を印刷所で刷りました。
90kのB4上質紙(コピー用紙より厚い、真っ白な紙)
に、片面がフルカラー、裏面が単色カラーで刷りました。
1000枚(B5に切るので、2000枚ですね)で、25000円ちょいでした。
「ねこのしっぽ」という
同人誌などを扱っている(=学生のお客さんになれている)
印刷所さんに頼みました。
キレイな仕上がりです。

チラシが出来たはいいけれど、今度は「宣伝」そのものです。
例えば施設に置いたりすることもできますが、
だいたいハケ(なくなること)ません。
だって例えば図書館とかに行ったとして、
突然あったチラシ、マジメに見ませんよね。

あとは公演場所の近くの学校にチラシを送るという手もありますが、
教育関係の方に聞いたところ、あまりいい印象を持たれず、
廃棄されてしまうことが多いようです。

あと、街頭で配る。
これは無理でしょう。
例えばダンスなどを織り交ぜて、
興味を引いて立ち止まってもらった後に手渡すならまだしも、
「お願いしまーす」「お願いしまーす」では、
チラシの無駄、あたりにチラシがゴミとして散乱してしまいます。

では、どうしたらよいのか?
知り合いに配るのです。それも、演劇に興味を持っている知り合いに。
それはネットであったり、学校関係であったり、
違う学校の友人に頼んで、
その学校の演劇部のコに手渡して、誘ってもらうという手もあります。
あとは、知り合いに劇団をやっている人がいる場合、
「折り込み」という強力な手段があります。
実は、大学サークルの宣伝はほとんどが横のコネで成立しています。
高校演劇もそうです。
けれど、私達のように、「児童劇団(大人が主催)」でもなく、
「大学サークル」でもなく、「養成所」でもなく
「高校演劇」でもない、どのジャンルにも属さない集団は
横のコネがありません。だから宣伝が最もキツいのですが、
逆に良いこともあります。

横のコネがあると、来てくれるお客さんの層が決まってきます。
そして、与えられる批評も決まってきます。
なので自動的に、そのジャンルらしいエンゲキをすることになります。
そう言った意味では、多様性のある伸び方が出来るとも言えます。

けれど、お客さんに来ていただかないと、芝居は伸びません。
お客さんの反応こそが、私達クリエイターを伸ばすのです。
宣伝は、もう、各自の状態に会わせて行うしかありません。
よくよく考えて、集客を伸ばす方法を作り上げましょう。




* 総合

さて、ここまで見てきて、
一公演当たりにかかるお金を出してみましょう。

ホール代45000円(照明機材含む)。
練習場所代8000円(通しやダンス用に、体育室を数回)
広告印刷代25000円(フルカラー、裏単色)
当日パンフ印刷代2500円(B4裏表、125枚)
雑費3000円(前に来てくれたお客さんにチラシ送付など)
交通費etc一人3000円ちょいくらい(お役所巡り、練習場所まで)

だいたい、締めて10万円ほどという計算です。
その上、お役所を巡ったり、
施設の人と打ち合わせをしたりしているので、
手間もそうとうかかります。

あ、ちなみに。
『必志組』はメンバー同士の連絡にメーリングリストを使用しています。
練習予定や、ちょっとした公演に関する話などは
すべてここで済ませています。
携帯、パソコン両方で使えるので、重宝しています。
http://www.csc.ne.jp/
などが、お勧めです。

ここまで見てきて、自分で集団を立ち上げることを無理だと感じた方、
いらっしゃったでしょうか。
けど、大丈夫です。『必志組』が存在して、公演を打っていること。
それが何よりの証です。
高校一年の時に、私たち(かんだ、西瓜すいか)は
『必志組』を立ち上げました。そしてそのころから、
これらお金のやりくりを含む事務処理は全て自分たちでしてきました。
ぜんぜん、やれないことではないです。

ココロザシ。

大切にしながら、燃やし続けながら、
これからも走り続けようと思います。