| *ぼくたちのいえ(マボさんの台本です) |
誰もいない舞台に明かりが入っている
そして突然、本当に突然轟音、暗闇
暗転の中から声だけが聞こえてくる
全員 それはあまりに突然だった。何が起こったのかも分からぬまま、すべては終わり、そして
また始まりを告げた。
一人ずつスポットで浮かび上がる
陶 終わることなく続くこの物語
ティア でもこれをあなたに話すには
氷雨 何もかものはじめから
ラフ そう、はじめから話さなければいけないけれど
純 何がはじめだったのか、わたしたちには知ることさえできない。
全員 でも、あなた達には知っておいてほしいのです。例えそれがどんな悪夢であろうとも
陶 確かに僕たちが
気がついたようにある場所に視線が集まる
ひとつのスポットが空でつく
満足そうに顔を見合わせて微笑み
陶 僕達がそこにいたことを
ティア 私たちが知っている始まりは
氷雨 昔々、ずっと昔、私たちのこの星が、地球と呼ばれていたこと
ラフ そこにひとつの悪夢があったこと
純 それから何度もその悪夢は人間たちを壊してきたこと
全員 それは悪魔の
陶 いや、神の黙示録
ティア 何が起こったのかさえわからなかった
氷雨 わかっているのはただそれが、
ラフ 悪夢が歴史になったその瞬間だってこと
純 とにかくそれが現実だってこと
全員 それ?それってなんだ!
陶 誰も答えてはくれないってことも、知っている
ティア だから誰も問いはしなかった。
氷雨 もし答えがあるのなら、それは
ラフ 僕らを作った心の中に
純 ならばあえて、私たちは問おう
全員 神よ!
陶 いや、悪魔よ!
全員 僕(私)たちはどこへいけばいい!
舞台には近代的なイメージのセット(バラックのセットの表に紙を貼っておく)
中央にテーブル、イス、舞台奥に3段ほどの階段
テーブルにほんが一冊乗っている
なんの変哲もない幸せそうな家族の団欒の場面
なにげなく本を取り上げる一人の子供(ライ)、本を開いて階段に上り、前を向き
ばさりと黒い翼を広げる、まるで死神のように
瞬間、家族の動きがとまり、次の瞬間
ものすごい轟音と共にあたりが真っ赤になる
音楽
人々苦しみつつセットの上っ面を剥いでいく
セットがバラックのようになる
全員倒れる
黒い翼の子供、本を閉じ、テーブルに載せて去る
まるで、次に開かれる破滅のときを待つように、静かにそこにあるその本
照明が入る
五人(ライ以外)が倒れている
そろそろとおきあがる陶
陶 ここどこだろ?砂…漠…?なんでこんなとこにいんだ?
と、陶の足に何かがぶつかる。ティア。
陶 人だ。
あたりをきょろきょろと見まわすと、いるいる。ラフ、氷雨、純
陶 ねえ!大丈夫?ねえってば!
ティア (おきる)私…?
陶 生きてたぁ…
氷雨 ン…?(起きる)
次々に起こしていく陶
ティア あなたは?
陶 俺は陶。
ティア とうさん?
陶 なんでさん付けなんだよ。っていうか俺は君を産んだ覚えはありません。
ティア 当たり前じゃないそんな事。
陶 え?
ティア だってあなた男だもん。産める訳ないじゃない。
陶 分かってるよ!そんな事分かってるの!俺はボケたの。まじめに返されても困るの。
ティア あ、そうか。それで…どうしてこんなところに?
陶 わかんないよそんなこと。さっき、気がついたら、俺もわかんないけど、
ティア 落ち着いて、陶。
陶 え、あ、うん…
ラフ (おきて)あ、後五分。
陶 なに言ってんだこいつ。おきろって!
純 (おきて)ここ、どこ…?
陶 どっか。おまえは?
ラフ 僕はラフ。
純 純…誰?
陶 俺は陶。
純・ラフ おとうさん?
陶 だから!なんで俺が十二で子持ちになんなきゃいけないんだよ!おもさんもいらないの。
陶なの。あ〜も〜なんなんだよぉ。なんでいきなり砂漠で、子持ちで
氷雨 子持ちは違うんでしょ。私は氷雨。
ティア ティアです。
陶 あ、分かった、夢だ!夢だよ。
純 夢?
ティア そうか…そうね、夢よ夢。
ラフ あ、ンじゃあ、もうちょっと寝よ。
陶 夢ならもう寝てるんだよ。
ラフ え?
陶 え?
氷雨 (皆がしゃべっている間自分の頬を無表情でつねっていたが、突然)ねえ、
陶 ん?
陶を平手打ち
一瞬皆何が起こったか分からない。
陶 …何すんだよ!
氷雨 痛かった?
陶 当たり前だろ!
氷雨 痛かったんだ?
陶 何言ってんだよ!
氷雨 夢なのに?
全員はっとする
陶 夢じゃ、ないんだ。
ティア でも…
氷雨 そう、夢じゃない。
ラフ じゃあ、なんなの?
純 どうして、こんなところにいるの?
陶 わかんないよそんな事!確か、あの時いきなり空が光って…
ティア 私も!そしたらすごい音がして
ラフ 僕もそうだよ。
陶 お前は?
純 わかんない。
陶 それから…それから気がついたらここで…
氷雨 私もそうだ。
ラフ なら、何があったんだろ?どうして僕達砂漠なんかにきちゃったの?もしかして、テレポ
ロパレリン?
陶 なにそれ?
ティア テレポーテーション?
ラフ それそれ!
陶 俺達はエスパーか。
ラフ 時が来て力が目覚めたんだ!
陶 なんの話だよ。
氷雨 私達が砂漠にきたんじゃあ、ないかもしれない。
陶 あ?
ティア どういうこと?
氷雨 私達は元からここにいたのかも。
ラフ 砂漠に住んでたってこと?僕はらくだかっ!
ティア え?人間じゃないの?
陶 おまえ、すっとぼけキャラなんだね…
氷雨 らくだは別に砂漠には住んでないでしょ。
ラフ え?そうなの?
純 サボテンだよねっ!砂漠に住んでるの。
陶 いや、サボテンは別に住んでるんじゃないんじゃないか?
ラフ そうだよ、うえてるんだよ。
陶 生えてるんだよ!読み方が違う。
氷雨 それじゃあ、私達がいたところが砂漠になったとすれば?
陶 え…
氷雨 学校で習わなかった?核。光って爆発する、すごい威力の爆弾。後にはなんにも残らない
んですって。
全員 かく?(言葉の意味が分からない)
ラフ (絵を飾る振り)
氷雨 それは額。
ラフ (手で花を作って開く)
氷雨 それは咲く。
ラフ (泣きまね)
氷雨 それは泣く。
ラフ おえっ。
氷雨 それは吐く。
ラフ (絵を飾る振り)
氷雨 それは額。
陶 戻ってるよ。って
全員 核ゥ?
陶 きのこ雲の?
純 きなこ?
陶 きのこ。
ラフ 嘘だ!そんなの嘘だよ!
陶 そうだよ、なんでいきなりそんなものがおちてくんだよ。
氷雨 じゃあ、どうしてこんなところにいるのよ!
陶 な、なんだよ。
氷雨 私だってそんな事信じられないわよ!でも、
純 お父さんは?お母さんは?
ラフ 何言ってんだよ。おとうさんならここに(と陶を指す)
陶 だーかーらー!
ティア そんな事いってる場合じゃないわよ。爆弾がおちてもおちなくても、これは本当のことな
んだから。
全員しょげる。ティア、純とかを慰めている。
陶、皆の様子を見てしょげて見せる。
でも、思わず、少し、誰も気がつかないけど、ほんの少し、笑ってしまう。
ラフ これから…どうすればいいの…?
ティア 心配しなくても大丈夫よ。なんとかするから。
陶 なんとかって、 突然、赤ん坊の泣き声
陶 あれ…?どこから聞こえるんだ? 皆探す。見つけ出した。
ティア お母さん、いなくなちゃったんだね…大丈夫、怖くないよ。
陶 約束、しないか…
ラフ 約束?
陶 ここで、一緒に生きてくって。
ティア え?
陶 このままここにただいたら、皆、死ぬだけだから。
ティア そうね…私も賛成。
ラフ 僕も。
氷雨 私も賛成。
ティア あなたは? 純、ティアにしがみつく
陶 決まり!どんなことがあっても、俺達は一緒にいきていく。約束だ。
五人手を出す。
陶 じゃあ、この辺見てくる。
と歩き出す。が、突然何かにぶつかる(客席方面)
陶 何…これ…壁が…壁がある。
ラフ なんにも見えないけど…
陶 見えないけど、あるんだ!くそっ!(と壁に沿って走り出し、去る)
氷雨 本当だ…なんだこれ?
陶 (戻ってきて)ぐるっと俺達の周りを取り囲んでるみたいだ。でも、水はあった…
ティア っていうことは、
氷雨 どこにもいけないけど生きていけるってわけ。まるで飼われてるみたいね、私たち。
陶 俺達、神様のペットってことか?
ラフ 俺はペットじゃない!
純 私だって!
陶 これを壊さないと外には行けない…か…
氷雨 戦争だ…
ティア え?
陶 そうだ。これは、俺達の戦いなんだ…
全員壁をにらみつける
暗転
陶 氷雨が言った、砂漠の夜は冷える。この格好だと凍死する。そしたら、砂の下から着るも
のが埋まってた。本当に、飼われてるみたいだった。砂の下には他にもものが埋まってた。
そして俺達の戦争は始まった。だんだん安定した生活がおくれるようになったときは、こ
の約束から、10年が経っていた。
十年後
ティアと純が編み物をしている。表には見えないけどすごい長い。
純 これ、ライには内緒よ。
ティア わかってるわよ。うまく出来るといいわね。
純 うん。…あ、ここは?
ティア ここは…こう。それでね、こうよ。
純 うん、あ、そうか。
ティア わかった?
純 うん。ティア、
ティア なあに?
純 ライ、喜んでくれるかなあ?
ティア 喜んでくれるわよ!純、一生懸命作ったんだもの。
純 うん!
ティア でも…どこまで編むの?
陶 (声)おい!あそんでんな!早くこいよ!
ラフ・ライ (声)ラジャ〜!
ティア ライ帰ってきたわ。
純 え、あ、どうしよう。
陶 (出てきて)ったく…
ティア (純に)早く隠す!(陶に)おかえりなさい。ご苦労様、今日は何が取れたの?
陶 おお!これこれ、あとな、(と持っていた大きな麻袋を置く)
純 (慌てて隠して)おかえり!
陶 うん…?お前、今、なに隠したんだよ?
純 なんでもないよ!
陶 ほんとか?
ティア 陶、(にこにこして)純が何にもないっていってるんだから。
陶 そう、か、なんにもないのか!
純 そうよ!なんにもないってば。(といいつつ端が隠しきれずに出ている)
陶 (にやっと)尻尾が生えてるぞ。
純 え?
ラフ (出てきて)腹減ったぁ〜
ライ (出てきて)減ったぁ〜
ティア 今日も一日ご苦労様、疲れたでしょ?あは、ラフ、すごい顔よ。
ラフ 生まれつきだ!顔のことは言うな!
ティア そうじゃなくて、汚れてる。
ラフ ん?(と顔を汚れた軍手でこする)
純 ガングロだ!
ラフ っていうかあ〜、ちょーMM。
間
陶 なんか…冷えてきたな。寒くないか…
ライ すっごい寒い。
純 うん、寒いね。
ティア あ、そう?何か持ってこようか?
間
陶 あ、ティア、あのな、今のは別に本当に寒いわけじゃなくてな、
ティア え?
ラフ 俺の発言が寒いってことだよ!
ティア あ、そうだったの!
純 ラフ、自覚してるんだったらやめなさいよ。
ラフ うるせ。そこでいいつづける俺が素敵なんだ。
陶 ハイハイ、素敵でも無敵でもゲテモノ好きでもいいから
ラフ いや、ゲテモノ好きはやだ。
陶 なんでもいいから!早く顔を洗ってこい。
ティア その間に夕食用意しとくから。
ラフ ん、わかった。じゃ、これよろしく!
ライ よろしく! と軍手とエプロンをはずしてティアにパス!
が、ティアの上を通り過ぎた汚れ物は偶然出てきた氷雨にダイブ!
ラフ・ライ慌てて袋を担いで逃げ去る
陶 おい!投げるなっていつも言ってるだろ!大丈夫か?
氷雨 誰!
ティア 大丈夫?
氷雨 逃げられたか…
純 らのつくひとびとだよ。
氷雨 自分のものくらい自分で片付けてよ…(と言いつつ片付ける)
陶 おい、いいよ、俺がやるから。(と自分のと一緒に片付ける)それじゃ、俺もいってくる。
ティア 分かった。
純 これ、しまってくる。
ティア そうしなさい。
純 うん。(とずるずる引きずって去る)
氷雨 なに?あれ。
ティア ライにあげるんですって。マフラー編んでるのよ。
氷雨 マ、マフラー?あれ?縄跳びの間違いじゃなくて。
ティア 縄跳び…かも… 途中でラフが戻ってくるが、氷雨を見つけてタオルで顔を隠し横切
ろうとする。
氷雨 おい。
ぎっくーん!としてラフとまる。あたふたあたふた、サ、サボテン!
氷雨 そこのサボテン! ライが端から見てる
ぎっくーん!
ラフ さ…サボテンじゃありませ〜ん。
氷雨 じゃあ、なに。
ラフ なんでしょう。チッチッチッポーン。は〜い時間切れ〜。正解は、埴輪です!ハオー。
氷雨 あほか。
ラフ ハオー…
氷雨 あほ!おまえと同い年なんて情けないんだけど…
ラフ あのさあ、なんでおまえそう冷たいの?いちいち癇に障るな。もっとこう、愛情を込めて
接してよ。
氷雨 ないものは込められません、あほ。
ラフ ハオー!(怒)
陶 (出てきて)何やってんだお前?
ライ ラフ、馬鹿みたいだよ!(歯が黒い)
間
ラフ いや、おまえのほうが馬鹿みたいだぞ。
ライ へ?
陶 歯に土がついてる、もう一度洗ってこい。
ライ あ…うん。(去る) ラフも一緒に去る
ティア それで?今日は何を取ってきたの?
陶 あ、そうそう。今日はね、バナナが…って、あれ?わたしたっけ?
ティア 陶が持ってきたお芋とかはもらったけどバナナは…
氷雨 食べたんじゃないの?
陶 食べるかよ。つーことは、あいつら…
ティア あ、いない…
陶 あんのばかども…(と去る)
純 (出てきて)ティア〜、良く見たらあれ、ちょっと長くなっちゃったかも・・
氷雨 ちょっと…?
陶 (声)なに食ってんだよ!食うな!あ、おい、にげんな!ったく…(つかまえて出てきて
)ここに座って、晩飯を食え。
ラフ・ライ ラジャ〜!
陶 (また去る。袋を持って出てきて)これ。
純 わ〜すご〜い。
ティア ちゃんとできるものね。あ、陶、いつも夜ごとに野菜が減ってる気がするのよ。知ってる? ライ、食べる手を止める
陶 野菜?
ラフ お、もう食べねえのか?じゃ、これもらい。
ライ (はっと)あ、あ、あぁぁぁぁぁぁ!
ラフ いらないんじゃないの?
ライ バカラフ!
ラフ なんだよ!
陶 おい、やめろよ。ほら、俺のをやる。
ライ うん。
ティア どう思う?
陶 さあ。誰か食ってんのかな?
ティア 生で?
陶 …あ、そういえば、
ラフ 総入れ歯?
全員 はぁ?
ラフ 総入れ歯…
陶 そういえば、だ。耳掃除ちゃんとしてんのか?
ラフ あ…そ。
ティア 陶も何か気になることがあるの?
陶 あ、うん、気のせいついでに言うけど作業の道具が朝いくと並びが変わってんだけど、だ
れかいじってる?
ティア いじってないわ。純は?
純 え、し、しらないわ。
陶 気のせいかな?そうだといいけど結構危ないからな、あれ。
氷雨 (冷たく)気のせいじゃない?
純 危ないの?あれ。
陶 ああ、結構重いしな、とがってたりするからな。…あ、おい、ちょっと冷えてこないか。
ラフ 俺なんにも言ってないぞ!
陶 そうじゃなくて。
ティア そうね、上着とってきましょうか。
陶 俺がいってくる。ティアはここにいろよ。
ティア そう?じゃあ、お願い。
陶 ん。(去りかける)
純 あ、ちょっと待って。
陶 ん? 純、陶を端に引っ張っていく
純 皆に内緒にしてくれる?
陶 なにを?
純 道具が動いてるのと野菜が減ってるわけ。
陶 知ってるのか?
純 でも、内緒にして欲しいの。
陶 どうして?
純 だって、恥ずかしいと思うの。
陶 なんかよくわかんないけど、分かった。
純 あのね、あれはライなの。
陶 ライ?
純 ライが練習してるの。早く皆の役に立ちたいって。
陶 そう、だったのか…でも、なんでおまえ、
純 危ないんでしょ?ライがけがとかしたらやだし…でも、こっそりやってるんだから皆の前
でいったらきっとライ恥ずかしいと思うし…傷つけちゃうかもしれないから…ライ言って
た。できるようになったら皆を驚かせてやるんだって。でも、なかなかうまくできなくて…
陶 そか、ありがとな。わかった。じゃあ、今度から俺がこっそりみはっておくことにするよ。
純 うん!それなら安心ね!
陶 ほら、安心した所で食べちゃいなさい。
純 うん!
ともどる
陶は去る
ラフ おかわり!
氷雨 まだ食べるの?
ライ きっと腸とか胃になっちゃってるんだよ。
ティア ハイハイ、おなか壊さないでよ。
ラフ 働くと腹が減るの!
氷雨 働いてるのは殆ど陶じゃん。おまえはライと遊んでただけでしょ。
ラフ お〜い!なんでやねん!なんでやねん!なんでやねん!あ。
あ。というのは、たまたま戻ってきて上着をおとして拾おうと後ろでかがんだ陶の顔に突っ込
みの手があたった、あ。
陶 いて。なにすんだ。
ラフ そんなとこにいるのがいけないんだみょーん。
陶 おれは、うわぎを、
ラフ 浮気!許せない!別れましょ。
陶 まってくれ。誤解だ!
ラフ 五階も九百三十二階もないわ!
陶 ラフ子!って、なんでだよ。
ラフ 家出してやる!
陶 もういいっつーの。
ラフ 本気だから!
陶 本気…?
ラフ そうよ!でていってやるから!
陶 どこへ…?
全員 (はっとする)
陶 どこいくっつーんだよ…
全員はっとする
陶 この壁の中で…
暗転
明け。ライ、純、ラフ、離れて氷雨がいる。
ラフ いいじゃん、教えろよ。
ライ だから、いつも言ってるじゃない僕が嘘って言うと嘘になるんだよ。
ラフ そんな事あるわけないだろ。
純 ラフ、手品は種を教えないものなのよ、ね、そうよね、ライ。
ライ 種なんかないってば、だから、
ラフ 教えたくないならそういえよ。嘘までついて隠すことないだろ、そう言われれば俺だって
我慢するよ。おまえ、ほんとうそつきだな。
純 ちょっと、そう言う言いかたないんじゃない?
ライ うそつきじゃないってば!
陶がくる
陶 ティアいる?
3人 いない!
陶 すいません…(氷雨に)お取り込み中?
ライ そうじゃないってば!ぼくが言うと嘘になっちゃうだけだもん。いつも言ってるでしょ!
氷雨 それをうそつきって言うの。
ライ ちがうもん、本当のことも嘘になっちゃうんだもん!
氷雨 そんな事あるわけないじゃん?ずっと嘘ついてると本当の事いえなくなっちゃうんだ。
純 氷雨、そこまで言う事ないじゃない。
氷雨 事実でしょ?言ったことが全部嘘になるなんてそんな事化学的にも現実的にもありえない
し、第一人間にそんなちからなんてない。
純 氷雨!
ライ だって、だって…(なきそう)
氷雨、あ、しまったって顔をする
陶 おい、ちょっと、
ティア 氷雨も純もやめなさいよ。
ライ わかってるけどさ。信じてもらえるわけないって。でもさ…
氷雨 ライ…(何かをいおうとする)
ラフ どしたんだ?氷雨。
氷雨 (いえずに)いや、別に。
純 何よ!ライ、気にすることないんだからね!氷雨はどうしていつもそうやって怒るの?
ライ もう…いいよ…
ティア やめなさいよ。確かに言い方はちょっときついけど氷雨だってライのこと心配していって
くれてるんだから。
氷雨 …かいかぶりすぎだ。(去る)
陶 あ、おい、氷雨。
ティア でも、ライ、人を怒らせたり嫌な気持ちにさせる嘘はいけないわよ。
ライ …
純 ライ、遊びにいこ!ラフもいこう!
ラフ ああ、うん。いいけど。
純 ね、いこ。
ライ …うん! 3人走っていく
陶 ぼくの言ったことが嘘になる…か。まぁ…でもなァ…あ、そうだ、俺おまえ探してたんだ。
ティア なに?
陶 うん、ちょっと来てくれるか。
ティア はい。
去る
ライ、ラフ、純出てくる
じゃんけんぽい、でだるまさんが転んだをはじめる
途中で陶が出てきて混ざる
どんどん早くなってストップモーションの連続のようになる
陶が動く
陶動いた!といわれて
陶 なんか…芝居の練習にこんなのあったな…
と抜けて陶、テーブルに座って仕事をはじめる
3人つかれたようでだるまさんが転んだはやめて走って去る
陶 元気だね…若いもんは。
ラフの数を数える声
ライと純が走ってくる
ラフ (遠くからの声)いいかぁ?いくぞぉ!
後ろを気にしてあたりを見回して陶がなにかしている机にもぐりこむ
陶 ?何してんだ?
2人 シー。
陶 シー?(二人が走ってきたほうを見て)はっはあ…
ラフが走ってきて
ラフ この辺に男と女の2人組が逃げてきませんでしたか?
陶 …(机の下の2人の「言うな」オーラをかんじる)いいえ、見ていませんです。
ラフ そうか。何所へいったんだ?こっちに来たはずなのに…
陶にラフが背中を向けると陶、机の下の2人を指差す
ラフが陶のほうを向くと何にもなかったように仕事の続き。
また同じことをやる そのうち机の下の二人が気づき、
2人 陶!
と出てきてしまう
ラフ、声に反応してぱっと二人を見つける
2人、陶をやめさせるのに一生懸命
ラフ、二人の後ろまでくる
陶、二人の後ろを指差す
2人そろそろと後ろをむく
ラフ み〜つけた。
2人 きゃ〜〜。(逃げる)
ラフ ご協力ありがとうございます!
陶 いえ、市民として当然のことをしたまでです!ご健闘をお祈りします。
ラフ それでは(とさる)
氷雨やってきてこしかけ、大きなあくび。
陶 なんだ?珍しいな、あくびなんかして。恋煩いか?
氷雨 (ギロ)
陶 いや、すいません…
氷雨 わずらうような奴いないでしょ。
陶 そうかな…
氷雨 なに?
陶 いや、別に。
氷雨 寝かせてもらう。
陶 おやすみ。
しばらく間
ライ、ラフ、純がくる
陶 お、捕まえたか?
ラフ 俺に不可能はない。
純 陶が教えたからよ!
ライ そうだよ。そうじゃなかったら絶対わかんないでいっちゃったもん。陶の馬鹿。
陶 あはは、ごめんごめん。
純 誠意がかんじられないわ。おとうさんって呼ぶよ。
陶 あ、ごめんなさい。このとおり。
ライ よろしい。
陶 はぁ、ありがたきしあわせ。
ラフ それはいいけどさ、どうしておまえらいつも一緒に隠れるわけ?
純 だめ?
ラフ ライ、おまえいつも誰かと一緒に隠れてるよな。一人じゃ隠れられないのか?
ライ そんなことないもん!
ラフ やっぱり、おまえ一人で隠れられるようになったほうがいいよ。その方が一人前って感じ
もするしさ、あ、そっか…
ライ なに?
ラフ、ライに何か耳打ちしてにやっと笑う
ライが突然ラフに殴りかかる
物が倒れる
その音に驚いて、うとうとしていた氷雨が机に頭をぶつける
陶 なんだ?おい…氷雨…
氷雨におこったことに気がつき、笑いそうに。じろっと見る氷雨
陶 はーい、僕はなんにも見てませ〜ん。
純 やめなさいよ!ライ!
ラフ 何すんだよ!
純 陶、氷雨、とめて!
陶 おい、何やってんだよ、お前、
純 ティアー!(と去る)
氷雨 ライからしかけるなんて珍しいね。
陶 見てないで手伝えよ。
氷雨 乱闘は専門外なの。
陶 頼むよぉぉ、氷雨…
ティアと純が出てくる
ティア どうしたの?
純 わかんない。急にライが…
陶 (ライをやっとラフから引きはなして)どうしたんだよ。ライ。
ライ、無言で走っていく
陶 あ、おい!
純 まって!ライ!(とおいかけて走っていく)
陶 お前、何したの?何か耳打ちしたよな、なんか言ったのか?
ラフ それは…
陶 なにいったんだ。
ラフ 別に、
陶 だからなにを言ったんだ?
ラフ あ、そっか…おまえ…
氷雨 おまえ?
ラフ うそつきの役立たずだもんな…って…
氷雨 致命的。
ラフ でも、でもただの冗談だよ!いつもの俺の!大したことじゃないだろ?
陶 大したことじゃない?ただの冗談?本気でそう思ってるのか?
ラフ …
陶 ライは、気にしてるんだ、自分がなにもできないことを、俺達の前ではな、普通にしてる
けど、俺たちが見てないところでは一生懸命必死にやってたんだよ!
ラフ なんでそんな事分かるの?もしかして、超能力?
陶 ライだったんだよ。道具も、野菜も、みんなあいつが練習してたんだってさ。
ラフ え…
陶 できるようになったら、みんなを驚かせてやるんだって、ライ言ってたんだって。でも、
なかなかうまく行かない。焦ってたんだあいつも、そんな時、おまえにそんな事言われて
、なんとも思わないと思うか。
ラフ でも、俺そんなこと知らなかったから…
陶 知らなくても、役立たずなんていわれて喜ぶ奴がいるとおもうか?冗談ならなにを言って
もいいなんて思うなよ!
ティア 陶、きっとラフだって後悔してるわ、悪気があっていったわけじゃ
ラフ ティアはいつだってそうだよね、にこにこ笑って皆の弁護してさ、でもさ、ほんとに皆の
気持ち分かってる?ボランティアだと思って同情してるだけだったりして〜!
ティア去る
陶 ティア!ラフ!俺の言ったこと聞いてたのかよ!
ラフ 分かってるよ俺だって…言ったらきっと傷つくって分かってる…でもとめられないんだ、
言っちゃうんだよ。
陶 どうして。
ラフ …怖いんだ。怖いんだよ…
陶 恐い?何が。
ラフ 俺、父さんと母さんのこと大好きだった。すごい、大切だった。
陶 あ、それは…(なぜか戸惑う、焦る)
氷雨 (ボソッと)きっと皆、そうだったよ。
ラフ だから、俺、あの時、何もかもをなくしたあのとき、気が狂いそうだった。誰も、俺のそ
ばにはもういてくれないんだって、そう思うと怖くて仕方がなかった。たいせつなもの、
なくすと、こんなに苦しいんだ、辛いんだって、そればっかり考えてた。だから、ここで
皆と暮らすようになって、すごくうれしかったよ、でも、でもさあ、夜になると、怖くて
怖くて仕方がなくなった。また、なくしたら、また、あんなに苦しい思いする事になった
らって…そればっかり…
陶 (何かを振りきるように)だからってあんな言いかた
ラフ だって!あんまり真剣に付き合ったらさ!きっとまた大切になっちゃう、そんなのだめだ
!だから、いつも真剣にならなかったよ、冗談でかわして、
陶 それで、怖くなくなったか?俺達のこと、大切に思わなくてすんだか?
ラフ …
陶 ばかだなあ。どこにも行きやしないよ!
ラフ でも…
陶 無くす事ばっかり考えるな。後ろ向いてなきゃ、いくつだって道はある。いくつだって、 見つけられる。後ろ向いてたらな、いつかつまずいて、転んで、それで終わりだ。それと
、自分を守るために、誰かを傷つけたら、いけないんだ。(自分に言い聞かせるように)
氷雨 だけど、わざとじゃなかった、きっと私だって
陶 氷雨、確かに人を傷つけたことのない人なんていないよ。だからわざとやったんじゃな
ければ自分を責めることはない。でも、傷つけたことに気がついたら謝ったほうがいい。
そうだろ。ラフ。
ラフ (声にならないけどとりあえずうなずく)
陶 本当は…俺がえらそうにいえることじゃないんだ…でも、後悔してるから俺は。
ラフ 陶?…ごめん、もう、大丈夫だから。だから、もう行ってよ、寒いし。
陶 ああ。(去る)
純去る
氷雨 素直じゃない。
ラフ なんだよ…
氷雨 一人にしてくれって言えばいいのに…
ラフ 人の心を読むのやめろよ…
顔を見合わせなぜか笑い出す。
氷雨 私達、にてるな。
ラフ そうか?俺お前ほどクールにはできねえよ。
氷雨 そうかもね、でも私は、お前みたいにふざけることが出来ないから。
ラフ まさか、お前…
氷雨 だから言った。私達は似ているって。
ラフ おんなじだ。
氷雨 ああ。
ラフ なんで、言っちゃったんだろ。気がつかれるまで言うつもりなかったのに。
氷雨 強がりいうなぁ。
ラフ だから、心を読むなって。
氷雨 でも、気がつかれたくはなかったでしょ?
ラフ まあな。
ラフ なんだろ、お前といると、落ち着く。
氷雨 似たもの同士だからな。
ラフ、氷雨の肩に顔を乗せる
ラフ 少しだけ、こうしててもいいか。
氷雨 いいよ。
ラフ ありがとう。
氷雨 いいえ… 暗転・光が入る(夜)
ライと純が出てくる
純 ライ、もう帰ろうよ。
ライ 帰りたいなら純はもう帰りなよ。
純 寒いし…
ライ 僕は平気だよ。純はもう帰りなよ。
純 平気なわけないじゃない。こんなに寒いのに。
ライ だから平気だってば!風邪引くから帰りなよ。
純 そんなのライだって同じでしょ!風邪ならいいわよ、夜中ずっとここにいたら死んじゃう
かもしれないのよ。
ライ 構うもんか…
純 ライ…
ライ どうせぼくなんかなんにもできないんだから。
純 そんな事ないわよ!
ライ 同情なんてしてくれなくてもいいんだ。僕わかってるから。自分にはなんにもできないっ
て、分かってるから。
純 そんな事言わないでよ。
陶出てくる
陶 あ、こんなところにいたのか。探したぞ。寒かったろ。ほら。(と上着をかけてやる)
ライ そのままいなくなれたらよかったのに…
陶 ん?
純 そんな事言っちゃだめ!陶、ライは役立たずなんかじゃないよね、確かに…嘘はつくかも
しれないけど…でも、何にも出来ないなんてことないわよね、いなくなったりしたらだめ
よね。
陶 当たり前だろ。おまえは俺達には必要なんだから。
ライ でも…僕、ちゃんとできる仕事なんてないもん。
陶 仕事ができなくてもいいんだよ。もともと、こんな風にならなきゃおまえらの年で仕事な
んてしなくてよかったんだから。
ライ じゃあ、何してたの?
陶 一日に三時間、コンピューターに向かって勉強して、遊んで、
純 私なんか、まだ小さかったから親に甘えてわがままばっかり言ってたわ。
陶 子供なんてそんなもんだ。なんにもできなくても、親にとってはオロナミンCみたいなも
んだっていうだろ。
純 飲むの?
陶 飲まないよ!子供だよ、人間だよ。どんな親だよ。ドリンク剤みたいなもんだっての。
純 安っぽいね…
陶 俺は庶民だったの!
ライ でも今は、
純 こうなる前の楽な時間をライは過ごしてないんだもん。だから、いいのよ。
陶 そ。
ライ だって、だって…
陶 いいんだよ。子供はもっと甘えるもんだ。
ライ そんな事教えてもらわなかった。
陶 教えてもらわなきゃやっちゃいけないのか?いいんだよ、やりたいようにやれば。
ライ でも、親なんか知らないし
陶 俺だって、知らないよ。
2人 え?
陶 …じゃあ俺を親と思え!
純 よっ!お父さん!
陶 言うと思ったよ。それはやめろ。自分の名前呼ばれてるみたいだからさ、俺、絶対子供が
できたらお父さんとは呼ばせないな。
純 じゃ、なんて?
陶 父上。
純 それこそ陶がお陶さんって呼ばれる時代じゃない。
陶 おをつけるのは女だけなの。
ライ、突然陶に泣きつく
陶 !まったく…おまえはほんとに手がかかるな。
純 !そんなことないじゃない。わがままも言わないし、陶だって知ってるでしょ、弱音だっ
て吐かないで、がんばってるもの。
陶 だからだよ。毎日毎日言われると頭くるけど、いいんだからな、我慢ばっかりしなくてもたまには弱音はいたって、わがまま言ったっていいんだからな。
ライ うん。
陶 わかったらおまえ冷たいから、あったかくして風邪引かないようにして寝なさい。
ライ うん、おやすみ。(去る)
陶 おまえもいけよ。
純 やっぱり陶はお父さんだよ。
陶 はい?
純 だって、私ライにあんな風にしてあげることできないもん。守ってもあげられない。
陶 そりゃー、俺だって同じだよ、俺はお前みたいにあいつに接してやることはできないもの。
純 そうかな?
陶 そうだよ、考えてみろよ、気持ち悪いだろ、俺がおまえみたいにあいつと戯れてたら。
純 戯れるって…
陶 そうやっていつもおまえがライのそばにいてやることで、あいつは大分救われてると思う
ぞ。大丈夫。純はライを守ってやれてるよ。
純 そうかな…
陶 そうだよ、ライは一人じゃないってこと、一人で苦しむ必要なんかないって、教えてやれ
。そしたらあいつが大きくなったら、きっと今度はおまえを守ってくれる。
純 うん。
陶 自信もて。さ、風邪引くぞ。
純 ありがとう、おやすみ。(去る)
陶 不器用なやつばっかだな、ここは…でも…一番不器用なのは…
陶端のほうに座る
と、ティアが出てくる。陶には気がつかない
ティア、考え込んでいる様子
陶、ティアに声を掛けようとするが、何と言ってかけたらいいのか迷っている様子
ティア、小さなくしゃみ
陶、その音にはっとし、思わず自分のコートを脱ぎティアにかける
ティア 陶…
陶、うなずいて見せて火をつけようと缶を寄せる
しゅっとマッチを擦り、火をつけ…
陶 さみいな…
沈黙
二人 俺(私)…
陶 なに?
ティア 私はいいわ。なんでも…ない。陶言って。
陶 …いいよ。もうがまんしなくったって。
ティア え?
陶 俺さ、さっき、ラフがお前にあんなこというまで、ずっと気がつかなかった。
ティア あの事なら、もう平気よ。
陶 そうじゃないんだ。俺、おまえの笑った顔しか見たことないってこと。
ティア え?
陶 思い出してみた。お前と会ったときのこと。皆、泣いてたろ?純とかライなんかまだ小さ
かったし…ラフだって、氷雨だって泣いてた。でも…お前は、泣いてなかったな。他の奴
らをなだめてあやして、慰めてさ、一生懸命笑って見せてただろ?
ティア だって、私はそれしか出来ないから、本当なら何も出来ない私がここで皆と一緒にいる資
格なんてないんだもの。
陶 家庭科は全部やってくれてるじゃないか、何にも出来ないなんてそんな事ない。
ティア ここに来てから覚えたんだもの。
陶 そう…ここにいることに資格が必要なら、それがないのはこの俺だ。
ティア え…?そんなことない。陶は、すごいもの。
陶 すごい…?どこが?
ティア 皆に頼りにされてるわ。優しくて、強くて…
陶 そんな俺…?
ティア そんなって…?
陶 …ほっとした。
ティア ?
陶 俺はほっとしたんだ。
ティア 陶?
陶 あの時…俺達の周りから、すべてが消えた、あの時。
ティア あの時…
陶 俺達が、俺達だけになった…あのとき。俺はほっとした。
ティア …どうして…?
陶 俺は…親の顔を知らない。どうしていないのかも…知らない。でも、いなくてもいいと思
った…俺は、一人でも、生きて行けたから。最初から一人だったから…いなくてもいいと
思ってた。でも…。でもね、あの時、分かった。俺は、一人で平気だったわけじゃなかっ
たんだ。たださ、それをみとめたら、俺がここにいる証拠なんて何も…なかったから…み
とめたら、俺がここにいることは、全部嘘になるんじゃないか…そう思ってただけだった
んだ。だから…だからさ、俺は…ほっとしたんだ。ああ、これで、皆も親がいなくなった
んだって…俺は、最初からお前らをだましてた。お前らが思ってるような奴じゃないよ…
俺は。
ティア 陶…辛い思い、いろいろしてたんだね…大変だったのね…
陶 …なんでだ…?ちがうだろ?そうじゃないだろ?俺のこと、ひどいと思うだろ?怒れよ!
お前らの不幸見て俺は笑ってたんだぞ!怒れよ!俺を憎んでみろよ!
ティア どうしたの?陶、なにかあったの?
陶 …あきれた…
ティア え?
陶 お前、なんでそんなに鈍感なんだよ!
ティア どうしたのよ?確かに、陶があの時そう思ったのは、許せないかもしれない。でもね、陶
が、一人で辛い思いをしていたとき、私達は幸せだったんだから、笑ってたんだから。そ
れに、今まで、私達で力を合わせてやってきたことは、嘘じゃなかった。だから
陶 そうじゃなくてさ!そうじゃなくて…そんな事どうでもいいんだ…だから、俺がいいたい
のはさ…だから…その…一人で…さ、一人で泣くなよ。一人で、苦しむな。なんでも一人
で抱え込むんじゃない!俺の前ではさ、泣いたっていいから。怒ったって、愚痴いったっ
ていい。一緒にいてやるから、全部きいてやるから。
ティア 陶…
陶 俺は、他の奴らと違って、お前より年上だし、男だし。そんなんでお前に頼ってたら情け
ないから…な。どうして…ここは皆、不器用なんだろうな。
ティア …
陶 それだけ。それだけ、言おうと思った。早く寝ろよ。風邪、ひくぞ。(と去りかける)
ティア ま、待って!
陶、ふっと振り向く。そのむねに飛び込んで泣くティア
しかし、陶の背が足りず、胸に飛び込めない…
(おかしさのなかに切なさをと思って例えばこんなギャグをいれてみた。)
陶 ちょ、ちょっと待て…
陶、台を持ってきて乗る
陶 これで、いいだろ。
陶、再び泣き出すティアの肩に手をかけぽんぽんと叩く。
暗転・焚き火の赤い火だけが見える。そのうち、消える
陶 (声)次の日、俺は、皆にライの話をした。
明け
ラフ やっぱり、それって、俺のせいかな。俺が、今までずっとからかっていろんなこといった
からかな…
ティア ラフのせいじゃないわよ。
氷雨 じゃあ、なんのせい?
純 私達がここにいるせいだ。
氷雨 ならそれはどうして?
陶 そんな事分かりきってる。
全員 ここに壁があるからだ!
全員壁に突進
ライが舞台後方に現れる
ライ以外壁を壊そうとしてる感じ
ライも加わろうとするが机の上にのっている本に目が止まる
引き寄せられるように本のページをめくる。
同時に爆発音、舞台が真っ赤になる。
その爆発音と共に倒れるライ以外の五人。
真っ赤な舞台と火の燃える音。
ライが叫ぶ、そのこえ
そのうち、なんの音も聞こえなくなり青くなる舞台
倒れている五人と呆然と立っているライ。
ライ どうしたの…?ねえ、陶、ティア!…ラフ、氷雨!純…
呼びかけている間どんどん暗くなる照明
とうとうライだけになる
呆然とするライ
ふと本に目をやる
ふらふらと本に近付きページをめくる
と、ライの動きが一瞬とまって力が抜けたように息を吐く
ライ そっか…僕、またやっちゃったんだね。思い出したよ。何回目だろ、これで…僕が悲しん
だら、あなたは笑いますか?こうしたのは僕なのにって、きっと笑うんでしょうね。それ
とも、僕が泣くのを期待していますか?だったら、悲しんでなんかあげないよ。今までは
、あなたの思ったとおり、ずっと嫌われていました。だから悲しいなんて思わなかった。
だから今回も、悲しくなんかない!きっと皆僕を嫌ってたから。鬱陶しいと思っていたん
だから。悲しくなんかないよ、笑ってやる、ははは。ないてなんかやるもんか、悲しくな
んか…ないんだ…よ…
陶 おい、なに泣いてんだ?またラフになんかされたのか?
陶が倒れている自分のそばに立っている
幽体離脱のイメージ
ライ 陶…
陶 なんだよ。どうした?へんなかおして。
ティア あら、ライどうしたの?
陶と同じようにティアも。
陶 いや、俺もよくわかんないんだけどさ、
ライ ティア…
氷雨 また泣いてるの?本当に世話がかかるんだから。
氷雨も。
陶 氷雨、そういういいかたすんなって。
氷雨 こりゃ失敬。
ライ 氷雨…
ラフ 俺はなんにもしてないからな!
ラフも
純 嘘!またからかったんでしょ。
純も。
ラフ してないって、ほんとに。
純 じゃあなんでライ泣いてるのよ!
ラフ 俺が聞きたいよ。
ティア 喧嘩しないの。
ライ・純 だって!
氷雨 うるさい。
陶 どうしておまえらは顔あわせると喧嘩になるんだよ。
ラフ 火事と喧嘩は江戸の花って言うじゃん。
氷雨 それは野次馬。
陶 しかもそれだと喧嘩するおまえも花ってことか?やだな〜こんな花。
ラフ お?心外だなぁ。俺が花になったら超一級に美しいよ。もう、チョウチョなんか俺の事と
りあいよ。
陶 なったことあんのかよ。花に。なんか鼻だったらイメージできるけどな。
純 やだ〜。
氷雨 汚い…
ラフ 汚いとかいうな!
全員 (笑)
ライ 皆…もういいよ…
陶 ん?
ライ もういいよ、僕なんかほっといて。
陶 なんで?
ライ 僕なんてどうなったっていいんだから!
陶 おい、おまえどうしたんだよ。
ライ だってみんな僕がやったんだ…みんな僕が、
陶 大丈夫、大丈夫。
ティア ライのせいじゃないわよ。
氷雨 全部一人で抱え込むのはやめな、体に悪い。
ラフ そうそう、分かってるから。
純 元気だしなさいよ。
ライ どうして?
陶 ん?
ライ どうして皆…
陶 どうしてって…おまえが泣いてるから皆心配…(皆、特にラフ、氷雨に)心配してるんだ
よな、心配したんだよ。
ライ いつもそう、みんなはそうやっていつも僕と一緒にいてくれた。どうして?どうして皆は
こうなった今も僕と一緒にいてくれるの?僕にはもうそんな資格はないはずなのに!
陶 資格、か…(ティアを見て)一緒にいたいと思うのに、資格なんか必要ないんだよ。それ
にな、おまえはまだ赤ん坊だったから覚えていないだろうけど、俺達ははじめてあった時
に約束したんだ。
ライ 約束?
陶 (皆に)覚えてるだろ?
全員 (うなずいて)俺(私)達は、ここで一緒に生きていこう。
ライ 一緒に…生きて?でも、きっと後悔したでしょう?僕を見つけたこと、
陶 どうして?
ライ だって、僕はうそつきだし、
陶 うそつきねぇ…うそつきったらラフだってそうだぞ?
ラフ お、おい。俺だけじゃないよ、氷雨もだよ!
氷雨 ラフ!
陶 はぁぁん…んじゃ、氷雨は大嘘つきだな。
氷雨 陶。
全員 (笑)
ライ でも、でも氷雨は、僕のこと嫌いでしょ?
氷雨 決まってるでしょ。
陶 氷雨。
氷雨 …嫌い…って言うわけじゃ…ない…よ。(大照れ)
純 氷雨が照れてる!はじめてみた!
氷雨 なれてないんだ、こういうの!
ティア いいじゃない、少しずつ、なれていけば。
氷雨 フン。ただ、おまえの考えていることは私には分からない。基本的にそりが合わないのか
もしれないな。
ラフ それは一理ありだな!
陶 明るく肯定するな、しかもおまえが。
ラフ コリャ失敬。
氷雨 それもおまえが言うな。
ライ じゃあ、やっぱり嫌いなんだ…
陶 ライ!
氷雨 喧嘩したって、そりが合わなくたっていいじゃないか。
ライ え?
氷雨 きっとライは、私が持ってないものを持って生まれてきて、私はライにないものを持って
生まれてきたんだ。私はそれは、とても素晴らしいものだと…思う。(照れてる)
陶 うん、そうだ。俺達は互いにいろんなことを補い合って生きてる。ライがただそこにいる
だけでも、俺はいろんなものをもらったよ。最初のころ、嫌になってどうでもいいやと思
ったころがあった。でも、おまえや、純の顔を見るとさ、がんばろうって思ったんだよな
ぁ。これまで補い合って一緒に生きてきたんだ。俺達は六人で一人みたいなもんだ。これ
からも、ずっと一緒にいるよ。
ライ …ありがとう。
ラフ 礼なんか言うな、家族だろ。
ライ 家族?
ラフ そ、おまえが末っ子、純がその上で、年だと…俺と氷雨が…双子か!
氷雨 おまえと双子…嫌だなぁ…
ラフ そう遠慮するな!
氷雨 ほんとに嫌なんだ!
陶 そうだな…そうすると…おい!俺はおやじかよ!
純 ぴったりじゃない。名前、お陶さんだし。
陶 その呼び方はやめろ。
ティア じゃあ、私がお母さんね。憧れだったのよね、お母さんって。
陶 世話のかかる子供ばっかじゃないか。やだなおれ。
氷雨 私だってこんな親は嫌だ。
ラフ いいじゃん、ねぇ。お父さん。
陶 やめろよ。おまえが言うと本当に嫌だ。
全員 (笑)
ライ、陶にしがみつく
陶 おいおい、どうしたんだよ?まったく、おまえは…
陶、ライの頭をポンポンと叩く
ライ 僕のこと、ずっと覚えていてくれる?
陶 え?
ライ 僕のこと、忘れないでいてくれる?
陶 今、ずっと一緒だっていったばかりだろ。忘れるわけないじゃないか。
ライ 僕がいなくなっても?
ラフ いなくなっても?
純 どこかにいっちゃうの?そんなのやだよ。
ライ 僕は皆を助けたいから。
氷雨 どういうこと?
純 それじゃわかんないよ。
ラフ ちゃんと説明しろよ。
ライ だからね、僕は全部うそだったことにできるから、
ティア 嘘?
ライ 僕がいつも言ってたでしょ。ぼくは本当のことも嘘にできるんだって。
陶 いや、でも、それは…
ライ 今までは、些細な事しかできないと思ってたから、うまくいくかはわからないけど…でも
僕の一番大切なものと引き換えにするから、だから、きっとうまくいくから。
陶 一番…大切なもの?
ライ (うなずく)だから…忘れないでね。
氷雨 私達…なの?
ラフ それじゃあ、引き換えってことは…
純 忘れちゃうってこと?
ティア ここからも、いなくなる…?
陶 ダメだ!ライ、そんなのダメだぞ!
ライ だってそうしなきゃ皆が!
陶 俺達は!もうだれも失いたくないんだ!
ライ だってそうしなきゃ皆死んじゃうよ!
陶 失うくらいなら死んだほうがましだ!
ライ そんな事言うな!!!!!僕は嫌だ皆が死ぬなんて……僕を一人にしないでよ。
陶 ライ…
ライ だって、言ってくれたじゃないか陶は。たまにはわがまま言ってもいいって、だから…こ
れで最後だから、だから…
陶 でも…
ライ 生きてりゃ、また逢えるんだから。忘れたって、逢えるんだから!また一緒に生きてだっ
ていけるんだ!例え皆のことを忘れても、皆が僕を覚えてて生きていてくれたら、僕はも
う、一人じゃないから。
全員ゆっくりライに抱きしめるように覆い被さるようにかたまっていく
音楽が大きくなり、突然照明とともにおちる。
暗闇にライが浮かび上がる
ライ 皆が死んだなんて…嘘。
間
ライ あなたは、なぜぼくを作ったんですか?自分の手を汚すのがいやだったからですか?
いつか本当のことが分かっても、ぼくのせいにできるからですか?
それとも、人間の進歩を見ているうちに怖くなったからですか?
人間の力が大きくなって何でもできるようになったら誰もあなたに願わなくなってそのう
ち忘れられてしまう、それが、怖かったからですか?
でも、まだ自分を思ってくれている人間を自分の手で壊せなかったからですか?
もしそうなら、ぼくはやっと、あなたを理解できたような気がします。あなたが、ぼくに嘘の力を与えたのも、ぼくに、つらい思いをさせないですむように、僕が、人間たちに嫌われるように、ぼくが、人間を憎んで、そしてこの世界を壊したいと思えるように。そう思ってもいいですか?
あなたの思い通りです。ぼくはずっと一人ぼっちだった。この世界を、憎みました。だから、壊した。皆壊してきた。でも、あなたは知らないのでしょうね、ぼくが本当はどんな思いで世界を壊してきたかなんて。僕は、いつも声にならない声で、叫んでいたつもりでした。あなたには、聞こえませんでしたか?頼むから、頼むからこれ以上、惨めな思いにさせないで。ぼくはそう叫んでいたんです。
今まで、ぼくの周りにいた人間は最初はぼくの力を見て驚くんだ。でも、そのうち気味悪がってまるで見世物を見るみたいになっていった。母親になった人達は皆が皆こう言ってた。「本当のあなたは普通の子だ、でも、今は悪い魔法にかかっているからこんな力があるのよ、私は少しも変な子だなんて、思わない」って。でも、外には出してくれないの。「あなたは私の大切な子供」違うよね、だったらなんで、外に出してくれないの?「宝物だから誰にも見せてあげないの。」恥ずかしかったんでしょ。変な力を持ったぼくが。普通じゃないぼくが!「大好きよ、私はあなたを愛してるから」どうしてそんな事しか言ってくれないの?本当の僕をちゃんと見てもくれないでどうしてそんな愛情ばっかり押し付ける の?それが、ぼくを惨めな気持ちにさせているのがわからないの?
ぼくは…そんなもの いらなかったのに…ぼくはただ…ごまかさないで、僕を見て、気持ち悪がっても、怖がってもいいから、一緒に生きていこうって…言って欲しかっだけだったのに。誰も、言ってなんかくれなかった。拒絶するか、僕のことを見ようとしないか、どっちかだった。だから、あきらめてた。そんな事、誰もいってくれないと思ってた。だけど、皆は言ってくれた。僕を見て、怒って泣いて、忘れないって、一緒に生きていこうって言ってくれた。だから、ぼくは皆を失うのが怖かった。
あなたの気持ちがやっとわかりました。僕が世界を壊していたときもこんな気持ちの人間がいたんだと思ったらやりきれなくなった。だから、もうやめましょう、忘れられることが、どんなにつらいことか、どんなに怖いことなのか僕にはもうわかるから。もう誰もこんな思いにさせちゃいけないんです。あなたのことは、ぼくがずっと覚えているから、絶対に忘れないから、例え誰もあなたに願う人間がいなくなっても、ぼくはあなたに願いつづけます。だから、もうやめましょう、ぼくがずっとあなたと、一緒に生きていくから。ねえ、神様。
ライ、消える
陶 (声)暗闇の中で、ずっとこのままだったらどんなに楽だろうか、と俺は思った。目が覚
めるのが怖かった。ここでこうやって俺達がであった、あの10年前に戻れたらどんなに
いいだろう。そして俺達は…
五人(ライ以外)が倒れている
陶が起きあがる、そして…一瞬暗転
全員 核ゥ?
陶 きのこ雲の?
純 きなこ?
陶 きのこ。
ラフ 嘘だ!そんなの嘘だよ!
陶 そうだよ、なんでいきなりそんなものがおちてくんだよ。
氷雨 じゃあ、どうしてこんなところにいるのよ!
陶 な、なんだよ。
氷雨 私だってそんな事信じられないわよ!でも、
純 お父さんは?お母さんは?
ラフ 何言ってんだよ。おとうさんならここに(と陶を指す)
陶 だーかーらー!
ティア そんな事いってる場合じゃないわよ。爆弾がおちてもおちなくても、これは本当のことな
んだから。
全員しょげる。ティア、純とかを慰めている。
陶、皆の様子を見てしょげて見せる。
でも、思わず、少し、誰も気がつかないけど、ほんの少し、笑ってしまう。
陶 (声)10年前のあの時と、同じ話をした。ただ、一つだけあの時と違っていたのは
ラフ これから…どうすればいいの…?
ティア 心配しなくても大丈夫よ。なんとかするから。
陶 なんとかって、
あの時ライの泣き声が聞こえてきたほうに目をやる…が
ライの泣き声は…聞こえてはこなかった。
笑い出すラフ
ラフ はじめてあったときとおんなじこと言うなんてさ。あれから、何年経ったと思ってんの!
皆笑う
陶 そうだよな、馬鹿馬鹿しい。
純 恥ずかしかったぁ〜
ティア もうあれから十年…?
氷雨 長かったな。
陶 壁は…?ない…壊れたんだ!
全員喜ぶ
ラフ これから、どうする?
全員考える
陶 どこかの壁の中と、連絡が取れないかな?もし、俺たちと同じような状況に置かれていた
人間が、他にもいたとしたら、壁は…壊れたかもしれない。俺たちの壁と同じように。
ラフ そうだ、そうだよ!
ティア たしか、どこかに無線機があったはず!
純 私探してくる!(とさる)
氷雨 じゃあ、私もいこう。(とさる)
陶 良し、じゃあ、俺は…(とさる)
ラフ 俺は何しようかな…そうだ!(とさる)
ティア、一人残り、にっこり笑って
暗転
どこからも、反応は返ってこなかった。
全員押し黙って動かない。くらーい雰囲気。
ラフ やっぱな〜だめかあ。(おちゃらけて)
陶 くそ… 突然雨のようなの音。同じことが頭によぎり固まる五人
陶 な、なんだ?
氷雨 さっきのショックでテープレコーダーが壊れたんじゃないか?
ティア そ、そうね。きっとそうね。
ラフ うん、そうだな。
純 ちがうよ…
陶 純!言うな…
純 だめだよ。
陶 お願いだから言わないでくれ!
純 きっとライが泣いてるんだ!私たちがライのことを忘れた振りなんかしてるから!
突然それまでなにもしなかった氷雨が無線へ
氷雨 誰か、聞こえないか、聞こえたら、返事をしてください。
ラフ 無駄だよ。お前だって今まで見てたろ?
陶 あれだけやっても、なんの反応もなかったんだ…氷雨、もう…
氷雨 (無視)誰か!聞こえない?返事を…
陶 もう無駄だよ!
氷雨 聞こえたら、返事をして…ライ… 全員、はっとしたように顔を上げる
氷雨 忘れてなんかいない、誰もライの事を忘れてなんかいないんだ。ただ、ライがいなくなっ
たことを、認めたくなかっただけ。もう、私達の前に現れることがないってことを信じた
くなかっただけ。
いつのまにか全員立ち上がって同じほうを見つめている
明かりが落ち、全員にスポット
氷雨 それだけ君は私達にとって大切な存在だったから。だから、本当に忘れてしまうのが恐か
っただけ。忘れたフリをしていれば、そのうち本当に忘れてしまっても恐くはないと思っ
た。君はちゃんと戦ったのに私たちは君から逃げていたんだ。
陶 だから今度こそ、この君の望んだ結末を俺達は受け入れよう。
ティア この結末は君の戦った証だから
氷雨 私たちとここで生きた証だから
純 すべてを心に刻み付けて
ラフ でも一つだけ、聞きたいことがあるんだ。
全員 君は幸せだった?ごめんね、ライ、そしてありがとう。
陶 俺達は君になにもしてあげられなかったかもしれない
ティア 私達がいることで、君を苦しめてしまったかもしれない
氷雨 それでも少しでも
ラフ 俺たちといた時間が幸せだったと思えていたなら
純 戻っておいで。
全員 いつでも
氷雨 私たちは幸せだったから
ティア 例え君が私たちの事を忘れてしまっても
純 私達は君をずっと待っているから
ラフ 俺達は君をずっと忘れないから
全員 ここは、君の帰る場所だから
陶 待っているから帰っておいで
全員 この、僕(私)達の家に。
明かりがつく
六人がいる風景
ライは純のマフラーを巻いている
横でうれしそうにしている純
ラフがそんなライをからかっている
楽しそうに仕事をするティアと陶
一人何かを考えていてたまに皆に声をかけられたりする氷雨
その何気ないありえない風景
その日常
ライ (声)僕も、幸せ、だったよ。
だんだんフェードアウトしてきて幕かと思いきや
音楽ストップ
明かりついて…
声 は〜い!だめだしするよ〜。
ティア ちょっと、(陶に)あんた2人のシーンで台詞のタイミングが遅いのよ。
陶 あ、おそいですか。すいません。
ティア ちゃんとやってよね。あんたの雰囲気でこっちが変に見られちゃうわ。
陶 気をつけます。
声 ●●(ティア役の名前)、おまえはフラフラすんな。
ティア どこ?
声 全般的に。それと△△(ラフ役の名前)、おまえまた台詞違ってる。いちいち癇に障るな
、じゃなくて、いちいち癪に障るな、だろ。
ラフ あ、はい。
声 あと、▲▲(純役の名前)はもっとうるさくてもいいから。
純 はい!
声 じゃあ、一回休憩いれて、そうだな、一時間後にもう一回通してやるから、
全員 はい。
陶 (ライに)なんか、食べにいこうか。
ライ あ、本当に?いくいく。
陶 ▲▲も行く?
純 うん。
陶 皆さんもどうですか?
ラフ じゃあ…ぼくも、いこうかな…(テンションひく〜く)
ティア あんた達と一緒になんて…私はいいわ。
氷雨 あ、私は、お弁当持ってきているので。
陶 そうですか。じゃあ、テイクアウトでもして一緒に。
氷雨 あ、いいですね。
ライ 早く行こうよ。
純 早く早く!
陶 引っ張るな、伸びるだろ。衣装なんだからちょっと!
ラフ 元気ですね…
氷雨 そうですね。
陶 じゃあ、行きましょうか。
声 あれ?おい!黙示禄どこやった?
純 え?ここに…
陶 あ、本当だ。ありませんね。
ラフ 小道具の人が持ってったんじゃないですか?
声 あ〜。そうかもな。おい、○○(氷雨役の名前)きいといてくれるか?
氷雨 あ、はい。分かりました。
純 え…。あの…
声 一時間後な。
全員 は〜い。
陶 んじゃ、いきますか。
ティア あんたたち嫌でも毎日顔合わせてるのによく一日中一緒にいて平気ね。夢にも出てきちゃ
うんじゃない。
ぞろぞろ去っていく
純 ……
そっと本に近づく純
本に手を伸ばし…
不気味な笑い声がかぶさる
幕
(この脚本を使用したい方はマボさん(mabo-t@wta.att.ne.jp)へメールをお願いします。)