*『 第 四 期 』

 
   舞台上には多くの人間が、ぼろ布をかぶって彫像のようになっている。
   ある者は端で身を縮め、
   ある者はべろんと横たわっている。
   何も見えないほど暗い明かり。

凪    ・・・来たか。
凪    『空が』
綾女   『好き?』
凪    『さやさやと舞い落ちる雲の奥からカレー風味のかき氷が出てきてそれにミルクをかけたからって罪 にはならないでしょうとかいう発言の根底にはやはりこの世界の中で狂った僕らが居るという自己 主張いやそれはよく分かって居るんだけどやっぱりねなんて自嘲気味に笑う俺ってカッコイイとか 思って笑う思想を笑う俺って素敵?』
綾女   ・・・岡田紀子ね。待って。
凪    続けるんだ
綾女   『そうそれはあたしは可愛くない女なのって泣くその泣き方がかわいらしいとか思うカンチガイ野郎 のたっぷりつけた安物のマスカラにも似てみすぼらしくて不幸なマッチ売りの少女を連想させる偽 善者精神の塊かしらとかいって世の中を斜めから見ているあたしを狂わせたのは誰と問いかける水 音』
凪    『水の音が血のしたたり落ちる音がきこえる』
綾女   『今は夜』
凪    『瞳から血が滴り落ちる痛い痛い』
綾女   『イタイ』
凪    続けて。
綾女   『たすけて。』
凪    はいれ。
綾女   ・・・・・凪。
凪    ああ。
綾女   うん。あ、真夕。
凪    眠ってる。
綾女   何処行くの。
凪    いや、まだ。
綾女   置いてかないで。

   暗がりから、翔子。

翔子   『経済のお勉強をしたら』
綾女   『昨日のためらい傷が痛くて』
翔子   『バレリーナの特訓よりも血が出たのだから』
凪    『そんな冬が好きだ。朝、しもやけで肉が割れる』
綾女   『美味しそうなあたしの霜降り』
翔子   『狂牛病の牛さんに犯されたら飛べるのかしら』
綾女   『飛ぶ命落とす力で』
凪    『かみさま、狂わせるんだったら最後まで』
翔子   『鬱なの。あたしを愛さないで愛して。』いい?
綾女   だいぶかかったね。
翔子   まいてきた。つけられたら困るし。荷物置かせて。
真夕   しょーこちゃーん。
翔子   おいで。ほら。あ、また寝やがったこいつ
凪    (綾女を壁に押しつけ。)
綾女   ヤぁ・・・
翔子   綾女、新刊見してね。
凪    『首筋かっ切って指先に暖をとろうと思うのだが。』
翔子   あ、最初のだ。
真夕   『カミソリとカッターと鋏の間で迷・・・・
館内放送 ただいま四時十五分より三階。3Dシアターで「生き物のからだの不思議」を上映いたします・・・
凪    放送だ。
真夕   こわ、かったぁ。
翔子   だいじょぶ。真夕。
綾女   起きたの。
真夕   あれぇ?。恐竜がいる。
翔子   何言ってるの。当然。
綾女   眠り姫。
翔子   あんた新刊読んだの?
真夕   うん。凪くんに借りた。
翔子   どうだった?
真夕   アレが好き。『そんなにイイものなの?』っていうの。
翔子   へえ。

凪    続きは?
綾女   (黙って左手首にキスをする)
凪    どこにある?
綾女   ポケット。
凪    いつでも?
綾女   (頸を指さし)ここんとこ一突き。ね。

真夕   翔子ちゃん。ねえ。
翔子   ごめん読んでるから。

   真夕、つまらなそうにしている。
   思いついたように、

真夕   ねぇ、翔子ちゃん、しりとりしよう?
翔子   え?しりとり?だからこれ・・・
真夕   『しりとり』り!
翔子   り、りす。
真夕   すずめっ!
翔子   めだか
真夕   かめ
綾女   しっ!あいつら、まだ中だよ。
真夕   今にもイイ声出しそうな人に言われたくないもん。翔子ちゃんだよ。め、め。
凪    『メランコリー』

   真夕、翔子、綾女、一瞬止まる。
   綾女、小さく笑い、続ける。

綾女   リストカット
凪    登校拒否
翔子   皮肉
綾女   頸
凪    病気
綾女   狂気
凪    君
翔子   眠剤
真夕   ・・・・痛み。
綾女   (ため息をつきながら)みたらし団子!
凪    ゴミ溜め
翔子   迷路
真夕   ロマンチック!
凪    腐ってる
翔子   ルール
綾女   ルーズ
真夕   頭痛
翔子   嘘!
綾女   空
凪    ・・・・・楽園。
真夕   えん、えん・・・
翔子   終わり?
真夕   エンジン!あ、また『ん』だぁ。えっとねぇ、えっとねぇ。
凪    『人身事故』
綾女   このご時世
翔子   いい話ね。
真夕   眠りたい
綾女   今から?
真夕   楽園に行けるの。
綾女   ノー天気。
翔子   今日何時間寝てるよ。
真夕   夜も昼もずぅっと眠ってた。そうだ、夢、見たっけ。みんながいたんだよ。
綾女   よく眠れなかった?あんたが夢見るなんて珍しい。
真夕   いい寝方じゃなかったから。ここ寒いし。恐竜さんが見つめてるし。
凪    しっかり眠ってたくせに。

   足音、人の声。四人、凍り付く。

翔子   ・・・逃げなきゃ。
真夕   やだ、眠れなくなっちゃうよぉ・・・・!
綾女   落ち着いてっ!上から来るか、下から来るか。
凪    階段から来る足音か?これは。
翔子   ・・・・早く・・・お願い逃げさせて!

真夕   手が、ふるえだす。・・・ここは?
翔子   博物館。四方八方が・・・・囲まれた。
凪    助けを求めることは出来ない。
綾女   いっそこのまま・・・・・!
真夕   まだ
凪    駄目だ
綾女   脱出は?
翔子   早まらないで。
真夕   出口は?
綾女   遥か先。
翔子   あったね。「輪廻の歌」
凪    何冊目だっけ。
翔子   「水音」の前。
真夕   『心臓が破裂しちゃう!』
凪    『嘘つきと言う声』
綾女   『壊死を起こしかけの精神』
真夕   次なんだっけ。『信号待ちの死』?
凪    そうそう。その後・・・・
翔子   来る!
綾女   その後は?
凪    死ぬだけだ。
真夕   続けよう綾女ちゃん。
綾女   ・・・遥か、先。
翔子   来ちゃうよ、もう。
凪    動くな!
真夕   ・・・・何をすればいい?
綾女   死ねるかな。凪。逝けるかな。
凪    一突き。
綾女   うん。
真夕   教えて、何をすればいい?
凪    今を忘れて眠るんだ。痛みも傷も夢も希望も、全部忘れて、
四人   眠るんだ!

   ぼろ布をかぶせられる三人。
   倒れ、座り込む綾女。
   囁き。

全員   ながい ながい みちをぬけた
隣には大きな 河 があり
僕らはたちどまって ひがん を見た。
飛びたい と おもった。

   ブチ、オオカミが逢い引きをしている。

声    バラバラ
声    らば、らば。
声    らば。ラヴァー。
声    ラヴァーズ。ラブラブ?
声    ぶらぶら。ぶらーん。ぶらん。
声    乱舞。乱れろよ。お前。
声    え・・・・・?あ・・・・
綾女   さやさや、ゆれる。あたし何処へ行くの?けもの、骨。剥製。ガラス玉の瞳。空気がナイフ。汚いもの。吐き気がする。狂気。あいつらが。嫌ぁ・・・・怖い。怖い・・・・
オオカミ やかましい。
ブチ   お嬢ちゃんお嬢ちゃん、邪魔しないで。
綾女   ひと。にんげん。いやだ。息が。できない。怖い。怖い。助けて!助けてよ!凪!何処?あいつら が、あいつらが!
ブチ   おじょーちゃん!・・・ったく。てい!
綾女   わはははは、やめ、やめて。あはは。
オオカミ おれも加勢してやる。それ!
綾女   あはははははは。ははは、あは。・・・・・・痴漢!
オオカミ いらっしゃいませお客様。
ブチ   落ち着いたかい?
綾女   はぁ?・・・おじさんちゃんと払ってよね。胸触った。
ブチ   したたかだね。
綾女   はやく。
オオカミ えーとですね。こういうものに見覚えはありませんか?(と、剥製のポーズ)
綾女   物真似?ガラスケースの。こども劇場みたい。
ブチ   で、こんな風になったこのひとを、(カッターを手に取り)こんなもんで刺すと。堅いですね。傷一つつかず、割れるわけです。
綾女   あたしの。
ブチ   ごめんごめん。
綾女   返せ。
ブチ   恋人との約束の証ってとこ。
綾女   黙って。
オオカミ いい、臭いだ。
ブチ   肉と血の。
綾女   ちょっと、何。変だよあんたたち。
オオカミ 地獄さ。死人ちゃん。
綾女   死人?
ブチ   そうさね。
綾女   死んだの?あたし。
オオカミ 普段はさ、お出迎えってのはこうやるんだよ。音楽!

   音楽。

オオカミ はいはいはいはい!そこの方々!調子はいかがっすかー?おれは絶不調でーす!
ブチ   こっちも、右に同じく!
オオカミ だぁれもボクを愛してくれませーん!
ブチ   あたいも、死んじゃいたーい!
オオカミ 手酷い手当を受けた後、傷をぱっくり開かれて
ブチ   お腹に石を詰め込まれ、たどり着いたは暗い部屋。
オオカミ 最低最悪絶不調!世界はみんな裏切り者だ!
ブチ   みんな、大嫌いだー!
オオカミ 死んじまえー!
ブチ   ・・・あんたぁ、傷が膿んできたよ。
オオカミ どれ?ああ可哀想に。痛かったろう?・・・・うっ!
ブチ   あんた?あんた?
オオカミ はぁ、はぁ、発作だ。あぁ気が狂いそうだ。
ブチ   あんたしっかりして。あうっ!
オオカミ どうした?どうしたんだ。
ブチ   足が痛んで、立っていられないよ。
オオカミ 座っているといい。ゆっくり・・・・おあっ!
ブチ   心臓かい?呼吸かい?あああんた、死なないで!・・・ぐっ!
オオカミ お前、つらいだろうつらいだろう。おれなんかのために・・・・ぐはっ!
ブチ   あんたこそ・・・わおっ!
オオカミ おま・・・ぐぎゃっ!

   ついに床にはいつくばる二人。

ブチ   愉快だろ。
綾女   ええ。まあね。
オオカミ そう、気を悪くしなさんな。おれたちだってなあ・・・(ブチの背中を逆なでし)
ブチ   ああああああ。
オオカミ (ブチの背中をぽんぽんとたたき)仲間なんだ。
綾女   ・・・非道い、傷。痛むの?
ブチ   もちろん・・・・痛いさ。あたいもだけどね、あのひとはもっと辛いんだ。あたいのことはいいか ら!
オオカミ お・・・おれのことは構わねぇ・・・はやくあいつを慰めてやってくれ。
ブチ   いいんだ!さきにあんたの傷を・・・(と、何かに気づき)そうだ・・・・この娘だ・・・・!
綾女   え?
ブチ   あたいも、このひとも辛いけど、
オオカミ お嬢ちゃん、あんただって。
綾女   傷の臭い。
オオカミ 分かるのか。そうさ、仲間だ。
ブチ   安心していいのさ。あたいたちの傷なんかどうでもいい。アンタの傷、見してごらん。
綾女   地獄の使者?
オオカミ しがない展示品でごぜえますよ。
綾女   仲間なら、舐めて。凪はいつもそうしてくれる。
ブチ   あんたの男かい?
オオカミ 聞くだけ野暮だ。傷の臭いがわかるおれたちは、珍しいかいお嬢ちゃん。
ブチ   そんなに血の臭いぷんぷんさせてたらね、誰だって気づくよ!
オオカミ 今流行ってるんだろ?(腕を切る仕草をし)コレ。
綾女   流行り扱いしないで。
ブチ   悪い悪い。リストカッターちゃん。
綾女   けだもの。信じるわ。きもちいい。あたし、死んだの?
オオカミ そうさ。
綾女   死ねたの?
オオカミ そうさ。
綾女   サイコー。
ブチ   あんた面白いね。刃物なんか持ち歩いて、血の臭いを纏って。
オオカミ しかもなかなかべっぴんだ。おんなの臭いがする。
ブチ   バカ。
オオカミ 人殺しに興味は?
綾女   罪はない?
オオカミ もちろんさ!あんたの刃物と、それ。毒だろ。
綾女   ニコチンの液よ。
オオカミ それで殺ってほしいんだ。
綾女   面白いわ。
ブチ   楽しそうだね。
綾女   自分のために使うものを、人のために使って挙げようとしてる。あたしっていいヤツ。どうして殺したいの?
オオカミ あんたのためにもなるんだ。同じ服を着た女の子を連れてた。仲間だな?
綾女   髪は。
ブチ   長いね。
綾女   真夕。
オオカミ ヒトを操るんだ。白い壁に閉じこめて。おれたちみたいなのが、どんどんやられてく。あの娘も危ない。
ブチ   これを持っていくといい。(3Dメガネを渡し)・・・あたいたちは、傷のある仲間なんだ。頼むよ。ねえ。
綾女   名前は?
二人   ドクター・ボーン。

   綾女、説明を受け、凶器を受け取ると、ぼろ布をかぶって忍び込む準備。
   陰に隠れて様子をうかがう。
   真夕が3Dメガネをかけて座っている

真夕   いやーっ!先生、先生!苺が、苺がー!
まりあ  (真似して)バナナが、バナナがー!
真夕   あたしを殺しに来るの、来ちゃう、来ちゃう!先生、苺が!
まりあ  刺されるー!
ホネ   駄目だな。
まりあ  センセ。
ホネ   ほら、もっと呼吸はこきざみに。この娘を見て。
真夕   先生!助けて!ほどいて、ほどいてよ!
ホネ   やってごらん。
まりあ  見逃して、いやー!
ホネ   どうもよくないな。
真夕   や、あ、死んじゃう、死んじゃう、あ、あ、や、死んじゃう、殺して、殺して・・・いやあ!
ホネ   取ってやりたまえ。
真夕   (メガネを外され)あ・・・・うわーん。
ホネ   よしよし、よく頑張ったね。
真夕   うわーん。
まりあ  センセ、これ。
真夕   あ、おくすり。
ホネ   よく頑張った、よく頑張った。
真夕   ありがとう。先生。
ホネ   ちゃんと飲んでるかい?
真夕   うん。寝る前に。
ホネ   お友達にも。
真夕   うん。がんばる。
ホネ   いい子いい子。はやくおやすみ。

   真夕去る。

ホネ   患者の居心地を良くしないとな。
まりあ  ええ。
ホネ   同類がいれば安心する。・・・妙な臭いがするな。ちょっと外を。
まりあ  (外を見てきて)患者です。つかまえて。
ホネ   どうせろくなのじゃないだろ。
綾女   (ぼろ布を押しのけ)どけ!どけよ!
ホネ   ・・・・まあまあだ。どうなさいました。
綾女   何処も悪くない!帰せ!
まりあ  どこに。
ホネ   病室にだ。
綾女   放せ!
ホネ   ハイエナどもに犯されたのか。可哀想に。工夫もなく乱暴だ。
綾女   仲間を助けに来たの。真夕を出して。翔子を、凪を返せ!
まりあ  そんな人知らない。
綾女   (カッターを振り上げ)あんたの所にいたら気が狂う。なにあのメガネ。何を見せてる。
まりあ  あんなところ、おかしくなっちゃうよ。
ホネ   独りで決めた?
綾女   オオカミに会った。
ホネ   (綾女を押さえつけ)こんなもんで勝てるわけないって。ガキ。
真夕   (起きてきて)先生・・・・?
ホネ   何処へ行くつもりだ。
綾女   あたしたちの国を作る。傷ついた、くるしい、あたしたちの国を。
ホネ   いま話題のフリースクールへ行け。
綾女   バカにしないで。(瓶の液体を飲む)
ホネ   紅茶が好きか。真夕もそうだ。
綾女   (ホネにキスをする)
真夕   綾女、ちゃん?
綾女   真夕。ここから出よう。もう外に出ても大丈夫。あんたも持ってるでしょ。これ。これは・・・
まりあ  真夕ちゃん、落ち着いて。
真夕   綾女ちゃんに、おくすりあげようと思ってたのに。苦しいって、息できないって言ってるから、助けてあげたいって思ってたのに。
綾女   マボロシだよ。真夕。アンタをにらんで眠らせなかった、恐竜の骨だよ。あたしたち死ねたよ。死人の国なんだよ。逃げなくていい。薬なんか要らない。仲間もいる。行こう。凪も、翔子も、みつかるよ。
ホネ   仲間はみんなビョーキだろうが。入院だよ。
綾女   ・・・どうして。
ホネ   誰がニコチンの液なんか飲むか。
真夕   先生取らないで。
綾女   え?
真夕   あたしを見つめてくれた先生、取る気かよ!売女!

   真夕、手を振り上げる。
   止まる。
   暗い中、囁き。

全員   なにか が おかしい。
だれかが わたし たち を
みつめて いる。

   明るい展示室。

翔子   『見つめる其れは血走って欲情した視線の生存本能。破かれることから生じる痛みがまた甘美な朝、ママとパパには虚偽すらも語るまいと誓った』うまくいかねー。やめやめ。ゴメンね、保坂さん。保存。・・・タイトルどうしよう。痴漢じゃ芸がないし、『技』とかいいかな。あ。オークション情 報。売ります買います。ブルマ三千円か。どうしようかな。あ、ストッキングとルーズのセット、いい値段。売っちゃおう。あー、首痛っ。あの子たちといるとやっぱねー。んー。
声    もう少し値をつり上げたらどうかな?
翔子   やっぱそう思う?現役女子中学生だし。七千五百、と。
声    イイ匂いもつけてあげるというのは。
翔子   吉澤!セクハラ!
声    悪い。不躾、だったか。
翔子   死語。・・・・出てきなさいよ、待ってた。ちょっと、出てこないとおこるよ。
ダイオウ 目の前。
翔子   に、出てきてって話。まあいいわかった。気乗りしないわけ。
ダイオウ 出してくれ。
翔子   『出してくれ』?・・・『まともそうで狂った人間の壁が行く手を阻む』
ダイオウ ・・・・・。
翔子   ひどい。忘れたの。自分から仕掛けたくせに。『思わず手首を切って紅を見ながら自嘲気味に笑う趣味情操教育は何処で大成功したのか』
ダイオウ ここから出してくれ。
翔子   何なの。

   振り返る。
   
ダイオウ たのむ。ここにいたら、あんたを抱いてやることが出来ない。
翔子   うごいてる。先生!先生!係員さん!
ダイオウ 待て。
翔子   先生!

   翔子去り、真夕、やってくる。

真夕   先生、大丈夫?
まりあ  もちろん。
真夕   あんなの死んじゃえばいい。
まりあ  ヒトのいのちは大切よ。
真夕   もう死んでるし。どうしてあのひと、こんなに穏やかで癒される世界に争いを持ち込むの。
まりあ  真夕ちゃんは運が良かったの。あの娘は、こわいケダモノにそそのかされた。
真夕   牙のある剥製?
まりあ  でもだいじょうぶ。先生は強い。なに、どうしたの。
真夕   翔子ちゃんの。
まりあ  仲間なのね。
真夕   本貸してくれたりする。岡田紀子。
まりあ  あなたも持ってたもの。
真夕   そう。『目先の幸せの手の届く怒り。涙ながして仲直り、サンサンさんくみさんねんせー』
まりあ  B組でしょ?
真夕   そうかも。『お遊戯だけで十分。狂気は矛盾のない愛しい血潮』次が好きなの。『そんなにイイものなの?感動を共有するドラマの真似事。アタシにも教えてよ、この傷埋めてご覧なさい』キャラメル見つけた。いる?
まりあ  有り難う。
真夕   ボンタンアメ。メントス。
まりあ  こら。いけないわよ。
ダイオウ 看護婦さん。
まりあ  あら。またお肌かさかさなのね。
真夕   このひともビョーキ。
ダイオウ ホルマリンは肌が痛む。そんなことじゃなく、女の子が逃げた。つれてきてくれ。
まりあ  どうして。
ダイオウ 気に入った。
まりあ  わかりました。先生には内緒ですよ。ここで遊んでて。この子たち出しますけど。
ダイオウ かまわない。
真夕   かわいい。
まりあ  やまね。捜してくるわ。遊びたかったらふたを開けてくださいね。
ダイオウ よろしくたのむ。
まりあ  報酬も。
ダイオウ 夜おいで。

   真夕、ふたを開ける

やまね1 あたしを見て
やまね2 見て
やまね3 見て。
真夕   見てるよ。
やまね3 触れて
やまね1 触って
やまね2 撫でて。
真夕   いいの?
やまね達 触れるな賤民!
真夕   ごめん。
やまね1 最近の過激派はまた何かやっていますね。
やまね2 やはり最近はテロ、改革、従来の体制への反抗がキーワード。
やまね3 教育は重要な課題では。そちらの方、聴講生?
真夕   え?
やまね2 この世界の情勢について。
真夕   ずっと病院にいたから分からない。
やまね1 三派に別れている。教育、医療、改革。
やまね2 病院にいたんじゃ敵だ。ねえ先生。
ダイオウ 学者だって病気になる。
やまね3 ごもっとも。
真夕   学校は嫌。乱暴なのは嫌。
やまね1 ほう。
やまね2 過激なのは改革派だ。ちょっとこっちへおいで。
真夕   ここで待たないと。
やまね2 遠くに行く訳じゃない。乱暴は嫌いか。
真夕   争いを持ち込むひとは嫌い。
やまね1 向こうに部屋がある。おいで。話をしよう。



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以後書き途中





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